さすがのAI様にも「存在しないデータ」を分析することはできないのだ(GA4ちゃんとやろう)

Web担当者のための「GA4×AI」実践ガイド配布中

GA4の基本からAIプロンプトまで、現場で「すぐ使える」知識を厳選して収録しました。

→無料のeBookをダウンロードする

※新規タブでフォームが開きます。

  • 「AIが分析してくれるから、GA4の設定はもう頑張らなくていい」
  • 「イベント設定は面倒だし、必要になってから考えればいい」

AIでのデータ分析が身近になって、こう考える方も多いのではないでしょうか。

ですが、残念ながら逆です。全知全能のAIといえども、やっぱり存在しないデータを分析することはできないのです。ちゃんと分析をしたいと思うなら、イベントは設定しておく必要があります。

AIがパワーアップするに従い、「分析する力」は誰でも安く手に入るようになりました。その結果、差がつくポイントは「分析のスキル」から、「分析の手掛かりになるデータを、サイトに仕込んであるか」に移っています(最初からそうでしたが、その価値がもっと上がった)。

本記事では、なぜAI時代に「データを貯める」価値が上がっているのか、何をイベントとして取ればいいのか、さらにゴールから逆算するイベント設計の考え方と、私が運営しているECサイトで「どのCTAが購入に貢献しているか」をAIエージェントのClaude Codeと一緒に分析した実例をまとめました。

この記事を読むとわかること
  • AI時代に「データを貯める」価値が上がっている理由
  • ゴールから逆算するイベント設計の考え方
  • 実例:ECサイトのCTA別購入貢献をAIに分析してもらった結果

この記事の著者

屋嘉比 馨
Kaoru Yakabi

ボーダーヘイズ・ジャパン代表
/ ウェブ解析士 / Udemy講師

上場企業のインハウスマーケターとして営業リード・採用獲得のWeb戦略に従事したのち独立。「Webマーケティングの民主化」をミッションに、中小企業への計測環境構築やAI活用支援を行う。Udemyでは受講生8,000名超、ベストセラーコース多数。

読みたい場所にジャンプ

AIは「存在しないデータ」を分析できない

まず、AI時代にデータを貯める価値がなぜ上がっているのかを整理します。ポイントは、分析における「コンテキスト」の正体です。

AIに良いアウトプットを出してもらうには「コンテキストが大事」という話をよく見かけます。コンテキストというのは、AIに渡す背景情報のことです。文章を書かせるなら、どんな思いでサイトを運営しているのか、自分の経歴、顧客の事例など。そういった「AIが持っていない、自分だけの情報」を渡すほど、出力の質が上がります。

分析という文脈では、このコンテキストの主役はデータそのものです。サイトの成り立ちや、どんな意図でイベントを計測しているのかという背景情報ももちろん大事なのですが、肝心のデータ本体がなければ、背景情報だけ渡しても分析は成立しません。

AIに分析させるときに渡すコンテキストの図。土台にGA4に貯めた実データを置き、その上に背景情報(サイトの目的・ゴール、イベントを設定した意図、ディメンションと指標の意味)の3つを重ねてAIに入力すると精度の高い分析が返る。土台のデータがなければ背景情報だけ渡しても分析は成立しない

データ分析は「計測、集計、分析」の3段階でできています。土台は「計測」の部分です。ここが狭いと、その上に載る集計も分析も全部貧弱になります。どれだけ高性能なAIを連れてきても、取れていないデータは分析のしようがないのです。

「GA4なら設置しているよ」という方も多いでしょう。ですが、注意したいのは、GA4はデフォルトでは最小限のデータしか取ってくれないということです。世の中のアクセス解析に関する発信は「集計・分析」の部分にばかりフォーカスされており、「計測」の部分に関する情報が少ないのが実情です。なので、「データは取れている」と思い込んでいる人がたくさんいます。

仕事柄、色々なサイトのGA4データを見ますが、良くてカスタムイベントを1つか2つ、デフォルトのまま使っているアカウントも散見されます。

もちろん、GA4を設置しさえすれば、ページが表示された、セッションが始まった、といった基本的な行動は自動で貯まります。一方で「どのボタンが押されたか」「フォームまでたどり着いたか」といったサイト固有の情報は、自分で定義して初めて貯まり始めます。この「自分で定義するデータ(カスタムイベント)」こそが、分析の品質を高める重要な要素なのです。

ゴールから逆算してイベントを設定する

では、何をイベントとして取ればいいのか。手当たり次第に仕込むのではなく、ゴールから逆算するのがセオリーです。

最初に決めるのは、サイトのゴールです。ユーザーに最終的に取ってもらいたい行動を1つ決めて、キーイベント(コンバージョン)として定義します。問い合わせの完了、購入の完了、資料請求の完了。サイトによって形は違っても、必ず1つはあるはずです。

ゴールが決まったら、入口からゴールまでの間にユーザーが通る「地点」を細分化して、イベントとして取っていきます。ゴールが問い合わせ完了なら、以下のように刻むことができます。

  • フォームにたどり着いた(フォーム到達)
  • フォームへ誘導するボタンやバナー(CTA)がクリックされた
  • そのCTAが画面に表示された(見られたかどうか)
ゴールから逆算して地点を刻む図。入口(訪問)、CTA視認、CTAクリック、フォーム・カート到達、完了(ゴール=キーイベント)の5地点を横に並べ、地点の間が通過率として測れることを示す

こうして地点を刻んでおくと、入口からゴールまでのどこで人が落ちているのか、つまりボトルネックを探せる状態になります。全体のコンバージョン率が低い、という粗い情報だけでは打ち手を決められません。CTAが見られていないのか、見られているのに押されないのか、押されたのにフォームで離脱するのか。地点ごとの数字があって初めて、直すべき場所が具体的に決まります。

刻んだ地点それぞれの計測方法(クリック、表示、スクロールの取り方)は、以下の記事で具体的に解説しています。

実例:どのCTAが購入に貢献しているかをAIと一緒に分析

考え方だけだと実感が湧きにくいと思うので、私が運営しているECサイトの実データをお見せしましょう。ブログ記事で集客して、記事からオンラインショップへと送客する構造のサイトです。

このサイトでは、ブログ記事に置いたCTAにそれぞれIDを振って、「表示された」「クリックされた」をイベントとして貯めてあります。CTAは複数種類あります。記事冒頭のテキストリンク、記事の文脈に合わせて本文中に置いたボタン、記事冒頭と末尾のバナー。ゴールは購入(purchase)です。

このデータを使って、「どのCTAが購入に一番貢献しているのか」をAIエージェントのClaude Codeを使って分析しました。ファネルの設計からデータの取得、割合(CTR、CVRなど)の計算まで、Claude Codeが自律的にやってくれます。

スクロールできます
CTA(設置場所)クリックした人購入した人クリック後の購入率
本文中の文脈に合わせたボタン341人21人6.16%
記事冒頭のテキストリンク47人4人8.51%
記事冒頭のバナー36人0人0%
記事末尾のバナー48人0人0%
データ期間:2025年7月〜2026年6月

結果は、はっきり分かれました。ブログ記事のCTA経由で購入した25人のうち21人、率にして84%が「本文中の文脈に合わせたボタン」経由です。一方で、バナーは冒頭・末尾とも購入ゼロ。数千回表示されているのに、購入にはまったくつながっていませんでした。

地点ごとの通過人数も出ています。先ほどの「地点を刻む」の図と同じ形で並べると、以下のようになりました。

実例のファネル図。CTA視認4,923人、CTAクリック459人(通過率9.32%)、カート投入49人(10.68%)、購入手続き開始27人(55.1%)、購入25人(92.6%)の5地点を横に並べた図
実例サイトの5地点ファネル(直近12ヶ月・ユーザー数)

カートに入れた後の2段階は通過率が高く、大きく落ちているのはその手前、「表示からクリックまで」と「クリックからカート投入まで」の2箇所です。このサイトで直すべきなのは決済まわりではなく、CTAとその先の商品ページの導線だと特定できました。

上記は簡単な分析の例ですが、ここで強調したいのは、分析の中身よりも「前提(コンテキスト)」のほうです。この分析ができたのは、CTAにIDを振って「見られた」「押された」を貯めてあったからです。イベントのないサイトでは、同じ分析は物理的にできません。ページビューしか手掛かりがないからです。AIの分析力がどれだけ上がっても、この差は埋まりません。

補足:この分析で分かるのは「クリックの後に購入した」という順序までで、クリックが購入の唯一の原因だとまでは言い切れません(相関はわかるが因果まではわからない)。それでも「どのCTAを磨き、どれを見直すか」の優先順位を決めるには十分な材料です。

データには「巻き戻し」がない

もう1つ注意しておきたいのは、GA4のデータは過去に遡って取得できないということです。イベントは、設定した日からしか貯まりません。

先ほどのCTA分析も、GA4に移行した2022年ごろからイベントを仕込んであったから12ヶ月分のデータで語れたわけで、今日仕込んだら12ヶ月後にしか同じ分析はできません。「分析したくなったときに設定すればいい」が通用しないのは、このためです。

半年後のAIに聞きたいことは、今日の設定で決まります。気づいた今日が、一番早い開始日です。

AIで設定はできる。それでも人間に残る2つの仕事

「でも、イベント設定って難しそう」と感じた方に、いまの状況をお伝えします。設定作業そのものも、AIがかなり手伝ってくれるようになりました。

Claude Codeのようなエージェント型AIなら、GA4の導入もGoogleタグマネージャー(GTM)のイベント設定も、MCPを通じてある程度のところまで進めてくれます。分析が自律的にできるのは、先ほどの実例のとおりです。

ただし、AIに任せきりにはできない仕事が2つ残ります。

  1. どこに、どんなイベントを設定するかの判断
    サイトのゴールを決められるのは運営者だけです。ビジネスの事情も、どの行動に価値があるのかも、AIは外から知りようがありません。
  2. AIが設定・分析した内容の検証
    タグが意図どおりに発火しているか、分析の前提(期間、対象、イベントの意味)が合っているか。確認できるだけの知識がないと、間違った設定のまま1年分のデータを貯めてしまう、という一番もったいない事故が起きます。

Webサイトは、それ自体が世界にただ1つしかないものなので、GA4のイベントはどうしてもオーダーメイドになってしまいます。現在のAIエージェントでも、この辺りを完璧に読み取ることは不得手なので、どうしても人間の力に頼らざるを得ない部分が残っています。

なので、最低限のイベント設定スキルは、しばらくは人間側に持っておく必要があると私は考えています。設定の具体的な手順は以下の記事にまとめています。

まとめ:データは貯めた分だけAI時代の資産になる

AIは存在しないデータを分析できない。データは設定した日からしか貯まらない。データをもとにサイト改善をしていくなら、「気づいた今日からデータを貯め始める」の一択です。

全部を一度に仕込む必要はありません。まずはゴール(キーイベント)を1つ決めて、その手前の中間地点を1つだけイベントにする。CTAのクリックでも、フォーム到達でも構いません。半年後、あなたのサイトのデータをAIに渡したとき、返ってくる分析の深さが変わってきます。

データが多いほど、AIにできることは増えていきます。逆に言うと、コンテキストとなるデータがなければ高性能なAIも宝の持ち腐れなのです。

AIが台頭する時代だからこそ、あなたにしか取れないデータを味方につけてビジネスを良い方向に導いていきましょう。

イベント設定を基礎から体系的に身につけたい方には、GTMでのイベント設定を実践形式で学べるUdemyコースも用意しています。興味のある方は参考にされてください。

GTMによるGA4カスタムイベント設定

GA4を本当の意味で「活用」するための、カスタムイベントの設定方法について体系的に学べる講座です。

Googleタグマネージャーをデモサイトに仮想的に設置し、GA4のカスタムイベントを設定します。

Claude Codeの環境構築については、以下で初期設定キットを配布しています。

Claude Codeの初期設定キットを配布中

この記事で使っているClaude Codeの初期環境について、簡単にセッティングできるキットとミニ講座を用意しました。

以下のフォームからメールアドレスを登録いただくことで、無料で受講することが可能です。

GA4と生成AIでマーケティングを変える実践ガイド配布中

GA4の基本からAIプロンプトまで、現場で「すぐ使える」知識を厳選して収録しました。

→無料のeBookをダウンロードする

※新規タブでフォームが開きます。

屋嘉比 馨
ボーダーヘイズ・ジャパン代表
ウェブ解析士協会所属・ウェブ解析士。
ラジオ局、広告代理店などに勤務ののち、大手SIerのWebマーケティング担当に。主にオウンドメディア、広告運用にて営業リード・採用応募獲得に貢献。
2022年に独立し、ボーダーヘイズ・ジャパンを設立。
これまで100サイト以上の改善・計測環境構築に貢献した経験をもとにUdemy講師としても活動中。受講8,000人以上、Udemy Business認定コースも含めベストセラーコース5本を抱える。

YouTubeチャンネル

本サイトの内容を動画でも発信中です。文章で見てもいまいちよくわからないという方はこちらもご覧ください。

ブログの内容と若干異なる場合もございます。

記事へのご質問・ご指摘

コメントする

読みたい場所にジャンプ