発信ネタを見つける7つの視点|「AIで文章を書く時代」にこそ重要な考え方
「文章なんて、AIに書かせればいいじゃん」
ChatGPTの衝撃的な登場から数年経ち、文章作成をAIに任せるのは当たり前になりつつあります。
たしかに、ChatGPTやClaudeは、驚くほどしっかりとした文章を一瞬で生成できます。でも、その前提にはひとつの大きな壁があります。
そもそも、何を書かせればいいのか分からない。
これは、生成AIと一緒に記事を書くようになった私自身が、毎日のように感じていることです。文章をある程度書き慣れているはずの私でさえ、「次の発信ネタは、どうしよう」と立ち止まる瞬間があります。おそらく、あなたも文章を書こうと思ったとき、同じように壁に突き当たる場面は多いのではないでしょうか。
いくらAIが優れていても、「何を書くべきか」という文章の「種」は、自分の中にしか無いんですよね。そして、それを見つけるのが一番難しい。文章の種は、最初から明確な形をしているわけではなく、「なんとなく思っていること」や「もやっとした違和感」として非言語の状態で存在しているからです。
そこで今回、これまでに書いてきた記事を振り返り、「書けるテーマ」を抽出するための思考パターンを7つの「型」にまとめてみました。
「AIで書ける」時代だからこそ、「何を書くか」は自分で見つけなければいけない。 その第一歩として、ぜひこれらの型を使ってみてください。
文章の種を見つける7つの型
それでは早速、私が実際に使っている「文章の種」を見つけるための7つの型を紹介します。
ここで紹介する型を使えば、「あのときのモヤモヤ」や「誰かと話していて感じた違和感」などが、書けるテーマとして浮かび上がってきます。文章の材料は、すでにあなたの中にある。それを形にする手がかりが、この型なのです。
1. 常識への反論
「正しい」とされていることに対して、あえて逆の意見をぶつけてみるという型です。これが、誰もが最も使いやすい型なのではないでしょうか。
たとえば、「GA4は導入すべき」という空気感に対して、「GA4なんていらない」と切り込む。これが「なぜ?」と読者の注意を引く強いきっかけになります。YouTubeのサムネイルに多く見られる手法です。
重要なのは、「反論=否定」ではないということ。本音では反論は無くても、あえて「真逆の書き方」をすることで、思考の切り口が明確になる場合もあります。
たとえば、「Web初心者はGA4を使わなくていい(使っている場合じゃない)」という表現にすれば、「GA4は重要だけど、初心者には早すぎる」という意見を、常識への反論の形で伝えることができるのです。
以下の記事では、StudioのようなSPAサイトを「選ぶと後悔する」と警告し、一般的な選択肢に対して逆張り的な立場(常識への反論)をとっています。
2. 常識の肯定(補足視点)
こちらは常識に対して賛成の立場をとる視点です。
ただ、多くの人が賛同する意見を、そのまま肯定しても面白い記事は書けません。そこで、もう一歩踏み込んだ視点を足すことで、オリジナルな切り口を作れます。
例えば、「GA4は導入した方がいいけど、導入後に迷子になる人が9割」という感じです。常識を否定するのではなく、現場感のある視点を足すことで、読者にとってリアリティのある内容になります。
以下の記事では、「読了率は大事」という一般論を肯定しつつ、「scrollイベントでは正確に測れない」と補足する視点を加えています。
3. 常識の肯定(反論への反論)
1で挙げた「常識への反論」に対して再度反論し論理的に立て直す型です。
たとえば「GA4は使わなくていい」という声(常識への反論)があったとき、「いや、むしろ使わない理由がない」と返す。
一度否定された常識を、改めて擁護するという形なので、読者の迷いに寄り添いながら、納得感のある主張がしやすいのが特徴です。
以下の記事では、「GA4のイベントは分かりづらい」という声に対して、基礎から丁寧に説明し「ちゃんと理解すれば便利」と再評価(反論への反論)をしています。
4. 失敗エピソード
失敗は、最高の一次情報です。自分がやらかした失敗経験をベースにすれば、説得力と共感のある文章が生まれます。
たとえば「タグの設定ミスでGA4にデータが溜まっていなかった」というような失敗談は、「私もそうなりそう」と思う読者に強く響きます。
ポイントは、失敗の中に「学び」があること。ただの愚痴や自虐にならないよう、何を感じて、何を変えたのかをセットで語りましょう。
以下の記事では、過去に自分が散々失敗してきた経験から、「GA4のデータを何で見るのがベストか」という内容について解説しています。
5. 質問・相談されたこと
質問や相談などのリアルな他者の声は、そのまま読者の関心でもあります。「GA4ってどうしても必要ですか?」「読了率ってどうやって測るんですか?」といった質問は、そのままテーマにしてOKです。
実際に聞かれた言葉から書き始めれば、導入も自然になるし、読み手との距離もぐっと近づきます。自分が答えた内容を深掘りすることで、自分の考えも整理されていくはずです。
当サイトにも、クライアントから実際にいただいた質問をベースに書いた記事がたくさんあります。
以下の記事では、実際にクライアントから受けた「セッションの合計値が合わない」という質問を発端として、「セッションの概念」について解説しています。
6. 過去の自分へのアドバイス
「昔の自分に伝えたいこと」は、これから同じ道を歩く人にとって貴重な情報です。
たとえば、「GA4導入前に知っておきたかった絶対やっておきたい初期設定」といった形にすれば、初心者向けの情報としても役立ちます。
この型は、等身大の自分の視点で書けるのが魅力です。上から目線にならず、寄り添うような語り口になるため、共感を得やすい記事が書けます。
以下の記事では、生成AIを使い始めた頃の自分へのアドバイスとして、効果的なプロンプトの書き方を解説しています。
7. 驚いたこと・他人の間違い
「えっ、そうなの?」「それって違うんだ!」という驚きは、読者の興味を一瞬で引き寄せる力があります。
たとえば「GA4では内部リンクのクリックイベントは自動で取れないって知ってた?」のようなテーマです。
ただし、他人を見下すような語り方にならないように注意が必要です。驚きは共有しつつ、そこからの気づきや改善ポイントに話をつなげましょう。
以下の記事では、「内部リンクのクリックが自動で取れていると思っていたら、実は取れていなかった」という「思い込みの破壊」がテーマになっています。
書き始めるコツは「正解」を探さないこと
文章を書こうとすると、「ちゃんとしたことを書かなきゃ」「正解を言わなきゃ」と思ってしまいがちです。ですが、書くことにおいて「正解」を探そうとする姿勢こそが、手を止める最大の原因になると私は思っています。
むしろ、「まだうまく言えないけれど、これについて考えたい」「モヤっとしているから、書きながら整理したい」──そういう思いこそが、良い文章の種になります。
そして、前のセクションで紹介した7つの型は、そのモヤモヤを形にするための手がかりです。たとえば、「なんか最近、GA4ってもてはやされすぎじゃない?」という違和感があれば、それは「常識への反論」で書けますし、「そうだよな。でも導入しただけじゃ使えないよな」と思ったら「常識の肯定(補足視点)」で書けばいい。
つまり、大事なのは「正しさ」よりも「違和感」や「引っかかり」なのです。
また、「正解を探さない」というのは「SEOを意識しない」ということでもあります。以下の記事で書いていますが、SEOを意識しないほど、結果として検索上位に上がります。
正解を追いかけるほど、SEOからも遠ざかると心得ておきましょう。
違和感を書き留める習慣がAI時代には大切
前のセクションで書いた「違和感」や「引っかかり」に気づいたら、それを逃さずに書き留めてみるようにしてみてください。それが、生成AI時代には貴重な「一次情報」になります。
私の場合、AIを活用するようになってから毎日日記をつけるようになりました。日記と言っても、スプレッドシートに毎日一行ずつ増やして、メモ程度に書いているだけです。
ですが、それを種にして、ブログやYouTube動画の原稿を書き始めることもあります。発信する内容に困ったときのネタ帳のような役割になっているんですね。
たった数行のテキストからも、生成AIが話を広げてくれたり、自分には無かった視点を提供してくれます。
テキストを打つのが面倒な方は、ボイスメモでも良さそうですね。メモを起点にして、今のうちに自分の考えや主張を育てておくことが、生成AI時代を生き抜くスキルの1つになると感じています。
まとめ
AIで文章が書ける時代になった今、「書く」ことのハードルは大きく下がりました。
これまでは悩んでいた「どうやって書くか」という課題は重要度が薄れ、これからは「何を書くか」で悩む人が増えてくるはずです。
多くの人が「ネタがない」と嘆いていますが、文章の種は本当は自分自身の中にいくらでも眠っているはずなのです。それに自分が気づいていないだけ。
今回、7つの型を言語化してみて、私自身の「文章の種」を探すための指針ができた気がしています。あなたもぜひ、ここで紹介した7つの型を使い、自分の中に眠っているモヤモヤした感覚を言語化してみてください。
言語化するときのコツは、「なぜだろう」「本当にそうか?」という視点を持つということ。誰かが言ったことを鵜呑みにするのではなく、「なぜ、この人はこういうことを言っているのだろう」「本当にそうか?」と心の中で問いかけてみてください。
その問いこそが、あなたの思考の出発点になり、他の誰にも書けない文章の「種」になるはずです。
文章の種をAIを使ってライティングしていく方法については、以下の記事で詳しく書いています。
本記事で紹介した文章の種は、上記の記事の中で紹介している「一次情報」の1つになります。
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