なぜGA4のカスタム指標が重要なのか|未設定だといつか詰む
この記事では、「カスタム指標の重要性」について解説します。
- カスタム指標は何のために使うのか
- そもそも「指標」が何なのかわからない
上記のような疑問をお持ちの方に向けた記事です。
Udemy講師やスポットコンサルでGoogleアナリティクス(GA4)やGoogleタグマネージャーについてさまざまな方に教えてきましたが、その中で最もよく聞かれる質問が「なぜ、カスタム指標を設定する必要があるのか」というものです。
結論を一言で言ってしまえば、カスタム指標はページやCTAなどのパフォーマンスを把握するパーセンテージを出すために必要な数値です。
ただ、この説明ではピンとこない方が大半だと思いますので、そもそも「ページやCTAのパフォーマンスを把握する」とはどういうことなのかも含め解説していきます。
GA4における「指標」とは、「表示回数(ページビュー数)」や「アクティブユーザー数」といった数値で表されるデータのことです。
この指標のうち、オリジナルの数値データを取れるのがカスタム指標というわけです。
カスタム指標が必要な理由
冒頭でも説明した通り、カスタム指標は、ページやCTAのパフォーマンスを把握するために使います。カスタム指標を設定することで、パーセンテージを簡単に導き出すことができるという点が重要になってきます。
しかし、この説明だけでは、「なぜパーセンテージを導き出す必要があるのか」という疑問が解決しません。まずは「パーセンテージを求めることの重要性」について説明します。
パーセンテージの重要性
パーセンテージとは、「クリック率」や「コンバージョン率」といった「○○率」のことです。それぞれ「表示されたバナーの何割がクリックされたのか」「サイトを訪れた人のうち、どれくらいの割合の人がコンバージョンしたか」といった全体に対する割合を求めるために使います。
こうしたパーセンテージは、ページや施策のパフォーマンスを測るために使います。例えば、以下の表は私の運営するWebサイトの流入元別の問い合わせ完了数の一覧です。
一見すると検索流入からの問い合わせが多いですが、問い合わせ率を求めるとYouTube経由で訪れたユーザーの問い合わせ率が非常に高いことがわかります。
つまり、YouTube動画からアクセス数を集められる見込みがあるなら、YouTubeに注力して集客するのが効率的だという判断ができます。
YouTubeが集客に最適かどうかは一旦ここでは詳しく語りませんが、こうしてパーセンテージを求めることで、実数に差があるもの同士を同じ基準で比較することができるようになるということはおわかりいただけると思います。
パーセンテージを求めるために
さて、「ユーザーあたりの問い合わせ率」というパーセンテージの指標を求めるためには、当然ながら計算が必要です。問い合わせ率の場合には、以下のような計算式で求めます。
問い合わせ率 = サンクスページ到達数 ÷ アクティブユーザー数
そして、この計算をするためには「サンクスページ到達数」と「アクティブユーザー数」という指標(数字)が必要です。
アクティブユーザー数は元々GA4に備わっている指標ですが、サンクスページ到達数という指標はGA4のデフォルトには存在しません。つまり、指標を自分で作る必要があります。
この自分で作る指標がカスタム指標というわけです。
カスタム指標の作り方
カスタム指標は、イベント設定の流れの中で作りますので、作り方の部分だけを抜き出して解説してもよくわからないと思います。
ですので、ここではカスタム指標の元になる「イベントパラメータ」とGA4の「カスタム指標」の関係について解説します。詳しい設定方法については、個別のイベント設定の記事で解説していますので、そちらをご覧ください。
イベントパラメータとカスタム指標の関係を単純化して図解すると、以下のようになります。
さらに、上記を実際の管理画面で見ると以下のようになります。
Googleタグマネージャーでイベントを設定するときに、「イベントパラメータ」を登録します。イベントパラメータというのは、イベントの中に追加情報を含めるための機能です。カスタム指標として使うイベントパラメータの値には「1」という数字を入力しています。
イベントが発生したタイミングで、GA4にイベントデータとともに、このイベントパラメータと「1」という値が送信されます。
ただ、このイベントパラメータの値はGA4で受け取ることができても、そのままでは表示されません。カスタムで設定したパラメータは、GA4に標準で備わっているものではないため、GA4側でも自動で処理できないからです。
受け取ったイベントパラメータを適切に処理して可視化するための機能が、GA4の管理画面にある「カスタム定義」です。受け取ったパラメータを「指標」として扱う場合には、カスタム定義の中の「カスタム指標」を使います。
「カスタム指標」を登録することで、初めてイベントパラメータを数字として扱うことができるというわけです。
具体的な登録方法については、各イベント設定の記事をご覧ください。以下の記事で、イベントパラメータを登録しカスタム指標として登録する手順が出てきます。
カスタム指標を設定しないとどうなるか
では、カスタム指標を設定しなければどうなるでしょう。
カスタム指標を設定しなかった場合にも、イベントが発生した回数はGA4に記録されます。ただし、発生したイベントの回数は、すべて「イベント数」という指標に集約されてしまいます。
もちろん、GA4にはフィルタ機能が備わっていますので、イベント数として記録された指標の中から「問い合わせ完了数」だけを抜き出して表示することは可能です。しかし、フィルタをかけた状態では正確な計算ができません。
実際に、サンクスページ到達イベントとして設定している「generate_lead」イベントのみを、GA4の探索機能を使ってフィルタで抽出してみました。
フィルタがかかっていない状態と比べると、アクティブユーザー数の数が激減しています。「generate_leadを発生させたユーザー」だけが抽出されてしまうためです。これは、セグメント機能を使っても同じ結果になります。
さらに、GA4には計算指標を作る機能がありますが、ここでは指標にフィルタをかけることはできません。つまり、カスタム指標を設定していない場合には、GA4の画面上ではパーセンテージの指標を自由自在に作ることはできないということです。
一方で、カスタム指標を設定しておけば、GA4やLooker Studio単体で計算が完結します。以下はカスタム指標を使って計算指標を作っている例です。
Looker Studioでは、必要なときに必要な指標同士を掛け合わせることが可能です。GA4の「計算指標」の機能においても、指標を作っておけば自由に計算指標を作ることができます。
実際にカスタム指標を作る場面というのは、Googleタグマネージャーを使ってGA4のカスタムイベントを設定するときですので、すぐには使いこなせないかもしれません。
ただ、カスタム指標を設定しておかなければ、GA4を使っていくどこかのタイミングで必ず困る場面が出てきます。使いこなせなくても良いので、まずは「カスタム指標は重要である」という点だけは覚えておいてください。
デフォルトのコンバージョン率とカスタム指標
GA4を日常的に使っている方なら、「コンバージョン率」という指標のことをご存じでしょう。
GA4にはデフォルトで「コンバージョン率(2024年7月現在は「キーイベントレート」という名前に変更)」という計算指標が備わっています。このコンバージョン率は、重要なイベントをコンバージョンとして登録しておけば自動的に算出されます。しかし、それでもカスタム指標は必要です。
以下の3つのパターンが想定されるからです。
- パーセンテージを出したい指標が多様
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コンバージョンイベントだけでなく、CTAのクリック回数やフォーム到達回数など、サブの指標のパーセンテージを出す必要があります。カスタム指標を設定することで、CTAやフォーム自体のパフォーマンス改善に役立ちます。
- 分母を自由に設定できる
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デフォルトのコンバージョン率は、分母がアクティブユーザーかセッションのみです。フォームに到達した数を分母にしたい場合には、独自の計算が必要です。カスタム指標を設定すれば、柔軟に指標を計算し、より自由度の高い分析が可能です。
- コンバージョンとしたいイベントが変更になる場合がある
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あまりないケースではありますが、コンバージョンポイントが変更になるパターンもあります。
例えば、広告収益を得るために運用していたメディアを、自社サービスへの導線として使うことになった場合などです。この場合、「アフィリエイトリンクのクリック」としていたコンバージョンイベントを、「自社サービスのCTAクリック」や「問い合わせ完了数」に変更する必要があります。
カスタム指標を設定していれば、コンバージョン率とは別に独自のパーセンテージを算出できるので影響範囲が小さく済みます。
こうしたパターンを想定すると、見たい指標を柔軟に導き出せるカスタム指標を設定しておくのは必須といえます。
大した手間がかかるものではなく、イベント設定のついでにできる簡単な作業です。必要かどうか迷ったら、とりあえずでいいので設定しておきましょう。必要なければ、そのときに削除すれば済むことです。
まとめ
カスタム指標を設定しておくことの重要性について解説してきました。
カスタム指標は、GA4を効果的に活用するために非常に重要な要素です。さまざまなパーセンテージを導き出し、ページや施策のパフォーマンスを正確に測定することが可能になるためです。
非常に地味な機能で見落とされがちですが、Webサイトや集客媒体のパフォーマンスを測る上で必須の設定です。イベント設定をするときに必ず対応するようにしましょう。
いつか、本当に必要なときに「設定していて良かった」と実感できるはずです。