GA4の「ディメンション」とは何なのか|必ず覚えておきたい基礎知識
- GA4のディメンションってよく聞くけど、結局何なのかわからない
そんな疑問を持っている方向けの記事です。
GA4のディメンションとは、「データの切り口」のことを指します。「分析軸」や「内訳」という言い方の方がわかりやすい方もいるかもしれません。ユーザー数やページビュー数などの数値(指標)を、見たい分析軸で切り分けるためのものです。
例えば、「ユーザー数をデバイス別で切り分けて見る」、ページパスは「ページビュー数をページ別に切り分けて見る」といった使い方をします。
実際のGA4のレポート画面でディメンションを見てみましょう。以下はGA4のページ別レポートです。表形式のレポートの左側にある、「ページパスとスクリーンクラス」の部分がディメンションにあたります。

ちなみに、ディメンションで切り分けられている「表示回数」や「アクティブユーザー」などは「指標」にあたります。指標はGA4で扱う「数字」の部分だと覚えておきましょう。
上記のように指標をディメンションで切り分けて見ることで、「どのページが何回見られたのか」ということがわかりますよね。
本記事では、覚えておくと便利なGA4のディメンション、レポートや探索などでディメンションを使う方法について詳しく解説します。
ディメンションは分析の解像度を上げるために使う
ディメンションは、データ分析の解像度を上げるために不可欠です。
例えば、「サイト全体のページビュー数が1万回だった」というデータだけでは、どのページが人気なのか、どの経路で訪問されたのかといった具体的な情報は分かりませんよね。
そこで、「ページ別」や「流入元別」などのディメンションでデータを切り分けます。「分析」という言葉は、「細かく分解して考察する」という意味を持っていますが、まさにディメンションは考察するために「分ける」ためのものだということです。
ディメンションは単体ではなく、複数を組み合わせて使うこともできます。例えば「性別」と「年齢」のディメンションを組み合わせて使うことで、「20代の男性ユーザーが◯人」などと、より具体的なデータが得られます。
以下の図のようなイメージです。

ディメンションがなければ、「ユーザーが10人来た」という情報しか得られませんが、性別や年齢のディメンションを掛け合わせれば、ユーザー像がより具体的になります。これををGA4のレポートで表現すると以下のようになります。

探索機能では、以下のようにピボットテーブル形式でも表現できます。

Looker Studioではさらに自由度の高い表現も可能になります。

このように、欲しいデータにたどり着くために、複数のディメンションを掛け合わせて深掘りしていくというのが基本的な考え方です。
次のセクションでは、GA4の画面でディメンションを操作する方法について解説します。
GA4のレポート・探索でディメンションを使う方法
ここでは、GA4の標準レポートと探索、さらにLooker Studioでディメンションを扱うための操作方法について解説します。
それぞれのレポートをどのように使い分けるのかについては、以下の記事も参考にしてください。
標準レポートでディメンションを使う方法
GA4の標準レポートは、探索ほど自由度は高くありませんが、データの概要を素早く知りたい場合に便利に使えます。直近のアクセス数や設定したイベントの発生状況を大まかに把握したい場合などに使うのがおすすめです。
標準レポートでは、主に以下のことが可能です。
- ディメンションを切り替える
- ディメンションを追加する
ディメンションを切り替える
ディメンションを切り替えるには、ディメンション名のプルダウンになっている部分をクリックします。
開いているレポートの種類によって、表示されるディメンションは異なります。

ランディングページレポートのように、ディメンションを切り替えられない(切り替える必要がない)レポートもあります。
ディメンションを追加する
1つのレポートで、2つのディメンションを使うことができます。
ディメンションを追加する場合には、ディメンション名の右側の「+」アイコンをクリックします。ユニバーサルアナリティクス時代に「セカンダリディメンション」と呼ばれていた機能ですね。

表示された一覧の中から使いたいディメンションを選択すると、レポートの表示が変わり、前のセクションでお見せしたものと同じ見た目になります。

セカンダリディメンションには、自分自身で設定したカスタムディメンション(後述)も表示されます。
さらにデータを深掘りしたり、より詳細なディメンションを使いたい場合には、次で紹介する探索機能を使いましょう。
探索でディメンションを使う方法
GA4の探索機能は、データを深掘り分析するときに使います。ユニバーサルアナリティクス時代のカスタムレポートに近い機能です。
左側の「変数」列の「+」ボタンを押すと、使いたいディメンションを読み込んで使います。

ディメンションは指標を切り分けるためのものなので、ディメンションのみで使うことができません。必ず指標も読み込んでおきましょう。ディメンションと同様に「+」ボタンから読み込むことができます。

変数列で読み込んだディメンションと指標は、「設定」列で選択できるようになります。ディメンションと指標を自由に組み合わせることで、以下のようにレポートを作ることができます。

探索はレポートよりも自由度が高く、行(横軸)と列(縦軸)にそれぞれディメンションを設定できるので、データの種類によっては見やすいレポートを作れるはずです。
ただし、探索機能はピンポイントの深掘り分析に特化したレポートです。データを一覧化してモニタリングするのには向きませんので、そうした用途が必要な場合にはLooker Studioを使います。
Looker Studioでディメンションを使う方法
Looker Studioは、Googleが提供する無料のBIツールです。同じGoogle製ということもあり、Googleアナリティクスともシームレスに接続することができます。
GA4のデータを連携したLooker Studioでは、GA4の管理画面と同じディメンションを使うことができます。
Looker Studioに接続後、グラフを選択した状態で右側のメニューからディメンションを設定します。

Looker Studioは、かなり自由度が高いツールなので、使い慣れると以下のようなダッシュボードを作成することも可能です。

Looker Studioの詳しい使い方については、以下の記事をご覧ください。
GA4の代表的なディメンション
ここでは、覚えておきたいGA4の代表的なディメンションについて解説します。
GA4のディメンションは、2025年1月時点では事前定義されたものだけで356種類ありますが、これらすべてを覚える必要はありません。ポイントを絞って、必要なもののみを使えば大丈夫です。
必要なディメンションを選び取るために、まずは「どんな分析をしたいのか」ということを考えてみましょう。
ディメンションを選ぶための3つの視点
Webサイトの基礎的な分析が目的なのであれば、以下の3つの視点があれば十分です。
- どんなユーザーが
- どこから訪れて
- どんな行動をとったのか
それぞれにGA4のディメンションを当てはめて考えてみると、以下のようになります。
視点 | ディメンション | 内容 |
---|---|---|
どんなユーザーが | 年齢 | サイトに訪れたユーザーの年齢層を把握できる。※Googleシグナルを有効化する必要あり。 |
性別 | サイトに訪れたユーザーの性別を把握できる。※Googleシグナルを有効化する必要あり。 | |
地域 | ユーザーのサイト訪問時の地域を把握できる。 | |
デバイスカテゴリ | サイトに訪れたユーザーが使用しているデバイスをPC、モバイル、タブレットという粒度で把握できる。 | |
新規 / 既存 | 新規ユーザーか、既存ユーザーかを把握できる。※探索でのみ使用可能。 | |
オーディエンス | サイトに訪れたユーザーをグループ化して分析できる。例えば「CVしたユーザー」「CVしていないユーザー」などとグループ化し、グループ同士の傾向の違いを見る。※独自に設定が必要。 | |
どこから訪れて | セッションのデフォルトチャネルグループ | ユーザーの訪問時の大まかな参照元。例えば「自然検索から訪れた」という粒度で流入チャネルを把握できる。 |
セッションの参照元 / メディア | ユーザーの訪問時の参照元。例えば「Google検索から訪れた」といった粒度で流入チャネルを把握できる。 | |
セッションのキャンペーン | ユーザーの訪問時のキャンペーン。施策のキャンペーン単位で分析するために使う。 | |
ユーザーの最初のデフォルトチャネルグループ | ユーザーの初回訪問時の大まかな参照元がわかる。 | |
ユーザーの最初の参照元 / セッション | ユーザーの初回訪問時の詳細な参照元がわかる。 | |
ユーザーの最初のキャンペーン | ユーザーの初回訪問時のキャンペーンがわかる。 | |
どんな行動をとったのか | ページパスとスクリーンクラス | ユーザーが見たページのページパス(URLのドメインを除いた部分)。 |
ランディングページ | ユーザーが訪問時に最初に見たページのページパス。 | |
イベント名 | ユーザーが発生させたイベント名。 | |
アイテム名 | ECサイトで商品別に分析する際に使用。 |
始めのうちは、上記のディメンションを覚えておけば、ざっくりとサイトの規模や傾向を把握できるはずです。
これらは、GA4のレポート項目に以下のようにあらかじめ分類されています。
視点 | レポート |
---|---|
どんなユーザーが | ユーザー、テクノロジー |
どこから訪れて | 集客 |
どんな行動をとったのか | エンゲージメント、収益化 |
次のセクションで、前述したディメンションのいくつかを実際のレポートで使ってみましょう。
サイトのユーザー属性を分析するディメンション
それでは、「どんなユーザーが」という視点でGA4のレポートを見てみましょう。
以下は、GA4のユーザー属性レポートで「性別」をディメンションに設定した例です。

ユーザー属性のレポートでは、他にも年齢や地域のデータを見ることができます。プルダウンからディメンションを切り替えて確認してみてください。
ただし、性別や年齢のデータを取得するためには、「Googleシグナル」の機能を有効にする必要があります。方法は以下の記事で解説していますので、年齢や性別のデータが表示されない場合には設定を見直してください。
「地域」のディメンションがユーザー属性レポートに入っていることに違和感を感じる方もいるかもしれませんが、アクセス解析における「どこから」というのは流入元(参照元)のことを指します。地域は「どこに住んでいるユーザーか」という視点でユーザー属性として分類します。
テクノロジーレポートも見ておきましょう。以下はユーザー環境レポートで「デバイスカテゴリ」をディメンションに設定した例です。

サイトの流入元を分析するディメンション
「どこから訪れて」という視点でも見てみましょう。
以下は、GA4のトラフィック獲得のレポートで「セッションの参照元 / メディア」をディメンションに設定した例です。

トラフィック獲得のレポートは、訪問時にユーザーがどこから訪れたのかを見るためのレポートです。
似たレポートにユーザー獲得レポートがあります。こちらは、新規ユーザーを獲得した際の参照元を見ることができます。

どちらのレポートも、プルダウンでディメンションを切り替えることでデータの粒度を変えることができます。
サイト内行動を分析するディメンション
「どんな行動をとったのか」という視点は様々なバリエーションがあるので、どのディメンションを使うかはサイトにより大きく異なるはずです。
ここでは、どんなサイトでも必要な「ページ別」のデータを見てみましょう。「ページとスクリーン」のレポートに移動し、ディメンションを「ページパスとスクリーンクラス」に設定してみましょう。

ページパスではわかりにくい場合には、プルダウンからディメンションを「ページタイトル」に切り替えることも可能です。ただし、ページタイトルを変えた場合には、異なるタイトルごとに行が分かれてしまうので注意しましょう。
日付関連のディメンション
どの視点にも共通する日付関連のディメンションについても触れておきます。数字で表されるので勘違いしやすいのですが、実は日付もディメンションです。
「日別のアクティブユーザー数」「月別の表示回数」などと、データを切り分ける分析軸(ディメンション)として使いますよね。
日付は標準レポートでは期間設定でしか見ることができないのですが、探索やLooker Studioではディメンションから選択することができます。

以下はLooker Studioで折れ線グラフを表示したイメージです。折れ線グラフの場合には、ディメンションはグラフの下に表示されます。

ここまで見てきたディメンションを使って分析をしていくと、「さらに詳しい情報が知りたい」と考えるようになるはずです。そこで登場するのが、カスタムディメンションです。
カスタムディメンションでデータの粒度を細かくする
カスタムディメンションというのは、GA4の利用者自身で独自のディメンションを作れる機能です。標準のディメンションにはない切り口でデータを見ることができます。
例えば、サイト内に設置したバナーのクリック数を計測するカスタムイベントを設定した場合、「どのページでクリックされたのか」「どのバナーがクリックされたのか」といった情報が欲しくなるはずです。
「どのページで」というのは「ページパス」という標準のディメンションがありますが、「どのバナーが」という情報はサイト独自の切り口ですので、GA4のデフォルトのディメンションには備わっていません。
そこで、イベント設定時に「イベントパラメータ」という追加情報を付与し、パラメータの値をGA4側でカスタムディメンションとして登録します。カスタムディメンションとして登録したものは、GA4のレポートや探索などで他のディメンションと同じように使うことができるようになります。
前述のバナーのクリックであれば、以下のようなデータを取得できるようになります。

カスタムディメンションについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。
例として挙げたバナークリックのイベント計測の方法は以下の記事で解説しています。
デフォルトで計測されているけれど、レポートでは使えないデータを可視化する場合にも、カスタムディメンションを使うことができます。
例えば「直前のページ」を表す「page_referrer」は、すべてのイベントで標準的に取得しているイベントパラメータですが、デフォルトではディメンションとして設定されておらず、いわば「隠しデータ」のようになっています。
こちらもカスタムディメンションとして登録すれば、レポートでpage_referrerを使うことができるようになります。
まとめ
本記事では、GA4のディメンションについて解説しました。
データの切り口となるディメンションは、GA4を使う上で欠かせない重要な概念です。
「何がディメンションで、何が指標なのか」という点が最初は理解しづらいかもしれません。はじめのうちは、「数字以外はディメンション」と覚えておいても問題ないでしょう。
表示回数(ページビュー数)やアクティブユーザー数を切り分ける、「ページパス」「参照元」などがディメンションだと覚えておいてください。
とにかくまずは、GA4のレポートを毎日触って慣れることです。段々と馴染んできて、感覚的にディメンションの概念を理解できるようになるはずです。
慣れてきたら、カスタムディメンションも設定して、より詳しい分析も行ってみてください。
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