外注や社内共有で必須|GA4のアクセス権限(ロール)の設定方法
GA4でアクセス権をちゃんと管理できていますか?
チームでWebサイトを運営していると、「あの人、このデータ見られていいんだっけ?」「外部の人にも全部見せちゃってる…?」といった権限まわりの不安が、ふと頭をよぎることがあるのではないでしょうか。
GA4には、「アカウント単位」「プロパティ単位」でアクセス権を分けて設定できる仕組みがあります。これを理解しておくと、社内外のメンバーに対して「必要な範囲だけ」「適切なレベルで」データを共有することができます。
この記事では、GA4のアクセス権を「どこで、どう設定すればいいのか?」という基本から、「外注先にはどこまで見せればいい?」といった実務的な悩みへのヒントまで、わかりやすく整理していきます。
アカウントとプロパティの違いを理解しよう
GA4を初めて触る方が混乱しやすいのが、「アカウント」と「プロパティ」の違いです。この構造を押さえておかないと、誰にどこまでアクセス権を付与すべきかが判断できなくなります。
まず、GA4における「アカウント」は、基本的に1つの会社や組織に相当します。その中に、「プロパティ」という単位でWebサイトやアプリがぶら下がるイメージです(下記画像のイメージ)。

たとえば、A社が企業サイトとECサイトの2つを運営している場合、「A社」という1つのアカウントの中に、「企業サイト用プロパティ」と「ECサイト用プロパティ」、さらに「企業サイトとECサイトを横断的に見るプロパティ」が存在する、というイメージです。
アカウント構造を実際のGA4の画面で見るには、画面左上のプロパティ名のプルダウンを開きます。

プルダウンを開くと、以下画像のようにアカウントとプロパティと構造が分かれているのがわかると思います。以下の画像の場合、「demo-site」というアカウント(左)の中に、「demo-site2」というプロパティ(右)が格納されています。

この構造を理解しておくと、「この人には会社全体の情報を見せてもいいか?」「このプロジェクトだけの情報に制限すべきか?」といった判断がしやすくなります。
GA4では、アクセス権をアカウント単位とプロパティ単位のいずれか、あるいは両方で設定できます。ここで重要なのは、「アカウント(上位)の権限がプロパティ(下位)にも継承される」というルールです。
たとえば、あるユーザーにアカウント単位で編集権限を与えた場合、そのアカウントに紐づくすべてのプロパティに対しても、同じく編集権限が自動的に付与されます。逆に言えば、「このプロパティだけは制限したい」と考えても、アカウント側に強い権限を与えてしまっていれば、それは効かなくなるわけです。
ですので、「社内メンバーにはアカウント単位でアクセスを与える」「外部パートナーや一時的なプロジェクトには、プロパティ単位で限定的に付与する」というように、最小限の範囲からスタートするのが基本です。
役割とデータ制限の使い分け
GA4のアクセス管理では、「どの範囲まで見せるか?」だけでなく、「何をどこまで操作できるか?」を役割(ロール)によって細かく制御できます。GA4には「なし」を除くと5段階の権限設定があります。
ロール | 説明 |
---|---|
管理者 | アナリティクスのすべてを管理できる最も強い権限です。ユーザーの管理(ユーザーの追加および削除、データ制限の割り当て)、アカウントまたはプロパティでこの役割を持つすべてのユーザー(自分自身を含む)に完全な権限付与ができ、「編集者」役割の権限が含まれます。 |
編集者 | プロパティ単位の設定をすべて管理できる権限です。ユーザーを管理することはできず、「アナリスト」役割の権限が含まれます。 |
マーケティング担当者 | オーディエンス、イベント、キーイベントを作成、編集、削除できます。「アナリスト」役割の権限が含まれます。 |
アナリスト | 作成したデータ探索をプロパティの他のユーザーと共有できます。「閲覧者」役割の権限が含まれます。 |
閲覧者 | 設定とデータの表示、レポートに表示するデータの変更(比較の追加、セカンダリディメンションの追加など)、作成したデータ探索を作成、編集、削除できます。 |
なし | ユーザーにこのリソースの役割が割り当てられていません。別のリソースの役割が割り当てられている可能性があります。 |
さらに、GA4では「データ制限」も設定できます。「費用指標なし」や「収益指標なし」を設定すると、該当ユーザーにはコストや収益に関する指標が非表示になります。たとえば、外注先に売上や広告費を見せたくない場合に役立つ機能です。
GA4の権限設定方法
ここまで見てきた内容を元に、GA4の権限設定を行っていきましょう。
GA4の管理画面では、以下の画像のようにアカウント設定とプロパティ設定のエリアが分かれています。

アカウントの権限設定
ここでは、アカウントの権限設定の手順について解説します。
GA4管理画面のサイドバーから「アカウント > アカウントのアクセス管理」と進み、右上の「+」ボタンから「ユーザーを追加」を選択します。

権限を付与するメールアドレス(①)、役割(②)、データ制限(③)を設定します。

ここで設定するアドレスは、GmailまたはGoogleアカウントに紐づいているメールアドレスを使用できます。
プロパティの権限設定
ここでは、プロパティ単位でのアカウント権限設定の手順について解説します。
GA4管理画面のサイドバーから「プロパティ > プロパティのアクセス管理」と進み、右上の「+」ボタンから「ユーザーを追加」を選択します。

権限を付与するメールアドレス(①)、役割(②)、データ制限(③)を設定します。

実務でよくあるパターンとおすすめの設定
GA4のアクセス権は細かく制御できるため、実務では「結局どれをどう設定すればいいの?」と迷いがちです。ここでは、私が実際に関わってきた案件の中でよくあるケースを元に、おすすめの設定パターンを紹介します。
想定ユーザー | 推奨する設定単位 | 推奨ロール(権限) | 補足 |
---|---|---|---|
社内マーケティング部門 | アカウント単位 | 管理者または編集者 | 組織全体のデータに広くアクセスする必要がある場合に適しています。 |
社内のサイト担当者 | アカウント単位 | アナリストまたはマーケティング担当者 | 探索レポートを扱うならアナリスト、設定変更も担うならマーケティング担当者が適しています。 |
社内の管理職・経営層など | アカウント単位 | 閲覧者 | 最小限の閲覧権限を与え、不要な操作によるミス等を防ぎます。 |
外部の広告代理店や制作会社 | プロパティ単位 | マーケティング担当者 | イベントや広告連携を任せつつ、収益情報は制限する設定です。 |
一時的なパートナー・外注先 | プロパティ単位 | 閲覧者 | 最小限の閲覧権限のみを与えることで、情報漏洩を防げます。 |
このように、ユーザーの役割や関与範囲に応じて「役割」を設定することで、無駄なく安全な運用が可能になります。
GA4のアクセス設定は、一度間違えると全体に波及することもあるため、「まずは限定的に権限を付与し、必要に応じて拡張する」というスタンスをとるのが安全です。
経営者や社外の人間にGA4のアクセスデータのみを見せたい場合には、あえて権限を付与せずにLooker Studio等に吐き出したデータを共有するのも1つの方法です。
Q&A:GA4アクセス権についてよくある質問
ここでは、GA4の権限設定についてよくある質問を紹介します。
社内であれば、すべて管理者権限にして、他のロールを使わなくてもいい?
一見それでも問題ないように思えますが、たとえば詳しくないメンバーが社外の人に編集権限をつけてしまうなど、予期せぬ設定変更が行われる可能性もあります。実務では、担当者の業務範囲に応じて「編集者」「マーケティング担当者」「閲覧者」など適切な権限を割り当てることで、安全に運用することをおすすめします。
一時的にアクセスを付与した外注先の権限を、後で簡単に解除できますか?
はい、可能です。GA4の「アクセス管理」画面から該当ユーザーを削除すれば、即時にアクセスが無効になります。ただし、複数のプロパティに渡って権限を付けている場合は、すべてをチェックして削除する必要があります。
GA4とGoogle広告を連携している場合、広告運用担当者にはどの権限が必要?
Google広告との連携機能を活用するには、「マーケティング担当者」の権限が必要です。この権限があれば、コンバージョンのインポートやオーディエンスの設定などが可能になります。
社内の複数メンバーに同じ権限を一括で付与できますか?
現時点では、GA4単体でユーザーグループ単位の権限付与はサポートされていません。ただし、Google Workspaceを使っていれば、グループメールを使って一括設定する運用も可能です。ユーザー追加時にグループアドレスを指定してください。
まとめ
GA4のアクセス権を管理する方法について見てきました。
GA4は、アカウントとプロパティの構造が柔軟で、役割やデータ制限の設定もきめ細かく行えます。この柔軟性を活かせば、「社内外の誰が、どこまで見られるか」を明確にしながら、安全かつ効果的にデータ活用を進めることができるのです。
まずは、現在のアクセス設定を見直してみてください。そして「誰が何を見るべきか?」を改めて棚卸しすることで、トラブルを未然に防ぎ、GA4をもっと安心して活用できるようになるはずです。
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