GA4のセッションの合計が合わない時の考え方|指標の定義を再確認しておこう
この記事では、Googleアナリティクス(GA4)のセッションの考え方について解説します。
セッションをページ別で分けた時に、「セッションの合計値」と「ページごとのセッションを合計した数」が合わない、と困ったことはないでしょうか?
かなりピンポイントな悩みだと思われるかもしれませんが、Googleアナリティクスの「セッション」を理解する上で良い題材になります。
「セッション」という指標についての理解が曖昧な方は、ぜひ読み進めてみてください。
さて、事の発端は、クライアントからもらった次のような質問でした。
セッションの合計値が、どうしても合わない
どうせ、何かの設定ミスだろう。そんなことを思いながらレポートを見てみると、本当にセッションの合計値が合わない。
イメージとしては、以下のような感じです。計算しやすいように、アクセス数の少ないサイトのGA4で同じ状況を再現してみました。
実に不思議な集計表です。
1行目から8行目までのセッション数を電卓などで足し算していくと「11」になります。しかし、レポートの合計欄には「8」と表示されています。
なぜ、こんなことが起こるのか。この事象を説明するためには、そもそも「セッションとは何か」ということを理解する必要がありました。
セッションとは
まず、「セッション」という用語の意味を押さえておきましょう。
GA4において「セッション」とは、ユーザーがサイトを訪問し、ページを閲覧したりイベントを発生させたりする一連の行動のことを指します。通常、ユーザーがサイトを訪れてから30分間に何もイベントが発生しなければ、そのセッションは終了したと見なされます。
不思議な集計表の正体
では、セッションの定義を踏まえた上で、次のようなケースで考えてみましょう。
ユーザーがあなたのサイトに訪問し、1回のセッションで以下の3つのページを順番に閲覧したとします。
- ページA:最初に訪問
- ページB:次に訪問
- ページC:最後に訪問
このとき、GA4では以下のようにデータが計測されます。
ページ別で見てみると、各ページに1回ずつセッションがカウントされ、合計3回のセッションが発生しているように見えます。
しかし実際には、ユーザーは1回のセッションで3つのページを閲覧しています。つまり、セッションの合計数は「1回」です。
先ほどあげた表での「ページ別セッション」は各ページごとにセッションを表示しているため、同じセッションが複数のページでカウントされることになります。そのため、ページ別の合計と実際のセッションの合計値が一致しないように見えるのです。
その結果、以下のような「合計値が合わない」奇妙な集計表が出来上がるという訳です。
これが、「セッションの合計値が誤って見える」という事象の真相です。
こうした混乱を避けるために、GA4のページ別レポートでは、デフォルトではセッションが表示されていないということなんですね。
ちなみに、ここではページ別のデータで紹介しましたが、日別や流入元別でも同じことが起こります。ただし、「ランディングページ」や「セッションの参照元」など、セッションが起点となるディメンションについては、理論上は合計値が合うはずです。
まとめ:データの誤解を避けるために
このようなデータの誤解を避けるためには、「セッション」や「表示回数」などの定義をはっきりさせておくことはもちろんですが、何よりもレポートの目的を明確にすることが大切です。
データを分析する際には、何を知りたいのかをはっきりさせておくようにしましょう。
- ページのパフォーマンスを知りたいのか
- それともサイト全体の訪問状況を知りたいのか
この2つでも見るべき指標が変わります。レポートを作成する際には、目的に合った指標を選び、数値の違いを正しく解釈するようにしたいところです。
GA4の指標には、一見すると意味がわからないものもあります。そんな時は、この記事の中で解説したように、ユーザーの動きを図解して見てみるとわかりやすいですよ。
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