GA4で「サイト内検索キーワード」を調べる方法|設定方法からレポート化まで
「サイトに訪れているユーザーのニーズが知りたい」
そんな時に確認したい要素の1つが、「サイト内検索キーワード」です。
ページ上に検索ボックスを設置しているサイトも多いと思いますが、ユーザーが「フォームにどのようなキーワードを打ち込んだのか」は、実はGoogleアナリティクス(GA4)で知ることが可能です。

この検索ボックスに入力された言葉は、ユーザーの「知りたいこと」をそのまま表していますので、これを知ることができればユーザーのサイト内行動の解像度が一気に上がります。

サイト内検索キーワードは、GA4の「拡張計測機能」を有効にしていれば自動で取得されます。ただし、サイトによっては追加の設定が必要な場合もありますので、ご自身のサイトでサイト内検索キーワードが取得できるようになっているか確認しておきましょう。
サイト内検索キーワードの設定手順
検索キーワードをGA4で確認できるようにするには、最低限「拡張計測機能」の有効化が必要です。また、この記事の冒頭の画像のように標準レポートでサイト内検索キーワードを見たい場合には、「カスタムディメンション」の登録も必要です。
それぞれ、以下の手順で進めましょう。
拡張計測機能の有効化
拡張計測機能を有効化することで、ユーザーがサイト内検索したときに「view_search_results」という拡張計測イベントが発生するようになります。
拡張計測機能イベントは、GA4のプロパティ設定時にデフォルトで有効になっている場合がほとんどですが、曖昧な方は確認しておきましょう。
手順は以下の通りです。
GA4の画面左下の歯車アイコンから管理画面を開き、「データの収集と修正」メニューから「データストリーム」を開きます。さらに、表示された画面の「拡張計測機能」の歯車アイコンをクリックします。

拡張計測機能メニューの「サイト内検索」のチェックがオンにすると、サイト内検索イベントが計測されるようになります。

さらに、クエリパラメータについて念の為確認しておきましょう。
クエリパラメータとは、URLの中に含まれる「?q=〇〇」や「?s=〇〇」といった検索語句を示す部分のことです。サイトによって「?search=〇〇」など、異なるパラメータ名が使用されることもあります。GA4がサイト内検索のキーワードを取得する際には、このクエリパラメータを取得しています。クエリパラメータは、Webサイト自体の制作方法やWordPressテーマによっても異なるため、確認が必要です。
クエリパラメータを確認するために、Webサイト内の検索ボックスで実際に検索してみましょう。URLの末尾に付与される「?s=キーワード」などの記号を確認します。以下の画像では、「s」がクエリパラメータです。

このパラメータが、GA4の管理画面に設定されているかを確認します。以下の画像の例では、「s」の記号が含まれているのでGA4に検知されます。

ご自身のサイトのクエリパラメータがこの中に含まれない場合には、カンマ区切りで追加しておきましょう。
ここまでの拡張計測機能イベントの設定をしておけば、探索とLooker Studioではサイト内検索キーワードを取得できるようになります。
標準レポートでもキーワードを見たい場合には、もう一手間「カスタムディメンション」の登録が必要です。次のセクションの手順を進めてください。
カスタムディメンションの登録
標準レポートでは、そのままでは検索キーワードを表示することができませんので、「カスタムディメンション」の登録が必要になります。
そもそも「ディメンション」という言葉自体にピンとこない方もいるかもしれませんので、ここで少し整理しておきましょう。
GA4における「ディメンション」とは、データを分類・整理するための「分析軸(切り口)」のことです。たとえば「ページ別」「流入元別」といった分類は、すべてディメンションにあたります。「カスタムディメンション」は、自分で追加定義できる分析軸です。
今回設定するのは、「search_term」というカスタムディメンションです。これが、ユーザーが検索フォームに入力した語句(クエリ)を記録するためのフィールドとなります。以下の手順で設定していきましょう。
GA4画面左下の歯車アイコン「管理」→「プロパティ」の中の「カスタム定義」をクリックします。
カスタムディメンション設定メニューが開くので、「カスタムディメンションを作成」ボタンをクリックします。

ディメンション名に「search_term」、イベントパラメータにも「search_term」を入力し、「保存」ボタンで保存します。

カスタムディメンションは、設定前のデータを遡って可視化することはできません。表示されるのは設定以降のデータであるという点は押さえておきましょう。早めに設定しておくことをおすすめします。
登録したsearch_termがそもそも何なのかも知っておくと、GA4のイベントをより立体的に理解できます。
「view_search_results」イベント(サイト内検索イベント)が発生した時、サイト内検索キーワードはイベント内の「search_term」というパラメータに格納されます。パラメータはイベントの内訳です。
このパラメータは隠しデータのようになっており、GA4の標準レポートでは表示することができません。カスタムディメンションとして登録することで、「search_term」をディメンションとして使えるようになるのです。カスタムディメンションは、この隠しデータを可視化する機能とも言い換えられます。
今回の設定では、「search_term」というパラメータを受け取ったら、「search_term」という名前のディメンションで表示するという意味合いになります。
イベントとパラメータの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。
探索機能やLooker Studioには「検索キーワード」という名前のディメンションが用意されていますと書きましたが、探索機能のユーザーエクスプローラで詳細なイベントの内訳を見たい時には、やはりsearch_termをカスタムディメンションとして登録しておく必要があります。
レポートでサイト内検索キーワードを確認する方法
カスタムディメンションの設定が完了したら、検索キーワードをGA4上で確認できるようになります。ここでは、GA4の各種レポートで検索キーワード別のデータを確認する方法について解説します。
標準レポートで検索キーワードを見る
まずは、標準レポートで検索キーワードを見る方法を紹介します。
GA4のレポートメニューから「エンゲージメント > イベント」を開きます。以下のように、表の中の検索窓に「view_search_results」と入力し、サイト内検索キーワードに絞り込みます。
さらに、「イベント名」右側の「+」ボタンを押します。

「+」ボタンを押すと、2つ目のディメンション(セカンダリディメンション)を設定できます。
ここで「search_term」を検索し設定します。

「search_term」ディメンションの部分にサイト内検索キーワードが表示され、キーワード別の指標を見ることができるようになります。

サイト内検索キーワードを確認する機会が多いのであれば、以下のようにレポートのカスタマイズ機能を使って、専用のレポートページを作っておくのも便利です。

レポートのカスタマイズ方法について詳しくは以下の記事をご覧ください。
探索レポートでサイト内検索キーワードを見る
GA4の「探索」機能でもサイト内検索キーワードを見ることができます。
探索にはサイト内検索キーワード用のディメンション「サイト内検索キーワード」がすでに備わっていますので、今回はそちらを使います。

ディメンションにはもう一つ、フィルタ用に「イベント名」を読み込みます。
指標は「イベント数」を読み込んでおきます。
設定エリアででディメンションと指標を設定し、表を作成します。「イベント名」に「view_search_resultsを含む」でフィルタをかけると、以下の画像のように検索キーワードのみを綺麗に表示できます。

これで、「どの検索語句が」使われたかが一覧化できました。
Looker Studioでサイト内検索キーワードを見る
Looker Studioでも検索キーワードの一覧表を作ることが可能です。GA4の画面に比べ柔軟にレイアウトできます。
GA4の探索と同じく、ディメンションに「検索キーワード」、指標に「イベント数」を設定し、「イベント名」に「view_search_resultsを含む」でフィルタをかけると、以下のような表を作れます。

Looker Studioの詳しい使い方については、以下の記事をご覧ください。
サイト改善にどう活かすか
検索語句のデータは、分析で終わらせるのではなく、改善アクションにつなげてこそ価値が生まれます。ここでは私自身が実践している活用方法をいくつか紹介します。
1. ユーザーの「言葉」を把握して記事に反映する
サイト内検索されたキーワードには、ユーザー自身のボキャブラリー(語彙)がそのまま表れます。
たとえば、こちらが「導入事例」という言葉で記事を書いていたのに、ユーザーが「成功事例」や「お客様の声」で検索しているかもしれません。
ユーザーが使っている言葉をコンテンツ内のテキストに反映するだけで、記事を見つけてもらいやすくなります。
また、もしも繰り返し検索されているキーワードがある場合には、そのページが見つけづらいというサインかもしれません。その場合は、サイト内の導線改善や、ナビゲーション構造の見直しを検討する必要があります。
2. コンテンツの不足を見つける
よく検索されている語句の中に、それに対応するページが存在しない場合、それは「リクエストされているのに応えていない」状態です。これは新しい記事の企画チャンスでもあります。
私も新たに記事を書く際は、サイト内検索のキーワードを参考に使っています。発信ネタに困った時にも、サイト内検索キーワードをチェックしてみてください。
以下の記事で、検索キーワードを一次情報としてコンテンツに活かす方法について解説しています。
よくある設定ミスとその対処法
GA4で検索キーワードが表示されない場合、多くは「設定ミス」か「前提条件の見落とし」によるものです。以下によくあるつまずきポイントをまとめました。
クエリパラメータが正しく設定されていない
検索キーワードはURLの中の「?q=〇〇」などのクエリパラメータから取得されます。サイトによってはこのパラメータが「?s=〇〇」や「?search=〇〇」など、異なる文字列になっている場合もあります。以下の例では「?s=〇〇」となっています。

自社のサイトで、このパラメータがどのような文字列になっているか確認し、GA4の拡張機能イベントに入力されている値と一致するか確認しましょう。

カスタムディメンションの名前が一致していない
GA4のカスタムディメンションの設定と、イベントで取得しているパラメータ名が一致していないと、データは表示されません。
カスタムディメンションのイベントパラメータに入力した値(以下画像の②)が「search_term」となっているか確認しましょう。

大文字小文字の違いやスペースの混入など、ありがちなミスです。
一度登録したイベントパラメータは修正できないため、もう一度カスタムディメンションを登録し直す必要があります。
サイト内検索イベントが設定されていない場合にキーワードを知る方法
サイト内検索イベントが設定されていない場合にも、GA4の「ページパスとクエリ文字列」のディメンションを使えば、検索キーワードを見ることが可能です。
以下は探索で「ページパスとクエリ文字列」を使ってデータを表示した例です。「?s=」を含むという条件でフィルタを設定すれば、サイト内検索キーワードに絞り込んでデータを表示させることができます。

ただし、上記を見てお分かりの通り、クエリ文字列(サイト内検索キーワード)の部分はエンコードされて文字化けしています。デコードすれば元のキーワードを表示できますが、毎回となると面倒ですよね。
この方法は応急処置として使い、サイト内検索イベントをしっかり取得できるよう設定しておきましょう。
まとめ:検索キーワードは、ユーザーの「声」そのもの
GA4でサイト内検索キーワードを確認する方法について解説してきました。
サイト内検索キーワードを取得するための設定自体は数分で終わりますので、サイト開設後は必ず設定しておきましょう。
ユーザーが自ら入力した語句には、「いま何を探しているのか」「なぜこのサイトに来たのか」というヒントが詰まっています。それは単なるアクセス数やページビューでは読み取れない、非常に濃い一次情報です。
このキーワードを知り、読み取り、改善につなげていく。それができるだけで、あなたの分析は「数字を追う作業」から「サイトを変える力」へと変わっていきます。
まずは、GA4の管理画面を開いて、設定状況を確認してみてください。
サイト内検索キーワードとあわせて、ブログの場合には「目次クリック」のイベントも登録しておくことで、さらにユーザーニーズの解像度が上がります。以下の記事で解説しているので、ことらもぜひ設定してみてください。
記事へのご質問・ご指摘