【GTM必須】GA4で電話タップを計測しコンバージョン登録する方法
- 電話での問い合わせが増えたが、Webサイトがどの程度貢献しているのかわからない
- サイト内に設置した電話番号リンクのタップ数を計測したい
コーポレートサイトやランディングページ(LP)などに、以下のように電話番号リンクを記載して、スマートフォンでタップしたときに電話をかけられるようにしているサイトも多いはずです。
この電話番号をユーザーがタップした回数がわかれば、Webサイトが電話問い合わせに貢献しているのかを把握できますよね。Googleアナリティクスを使えば、こうした電話番号のタップ数を計測し可視化することが可能です。

さらに計測した数値を、例えば以下のようにLooker Studioでレポート化すれば、問い合わせに貢献しているページや流入元を特定して成果アップに繋げられるはずです。

この記事では、Webサイトに設置した電話番号のタップ数(クリック数)を、GA4で計測する方法について解説します。
なお、電話番号のタップを計測をするには、Googleタグマネージャーの導入が必須になります。
すでにサイトにGoogleタグマネージャーが設置されている前提で解説しますので、まだの方はこの機会に導入しておきましょう(意外に簡単です)。
本記事の内容は動画でも解説しています。GA4やGTMの設定は動画で見た方がわかりやすいかもしれません。
電話番号のクリックイベントの設定手順
ここでは、電話番号のクリックイベントを設定する手順について解説します。以下の6つの工程で進めていきます。
- 組み込み変数の設定(GTM)
- タグの作成(GTM)
- トリガーの作成(GTM)
- プレビューと公開(GTM)
- カスタムディメンション登録(GA4)
- カスタム指標の登録(GA4)
Googleタグマネージャーを使いますので、事前にChrome拡張機能のTag Assistantを導入しておきましょう。後のプレビューの手順の際に動作が安定します。
Tag Assistantについての詳しい説明は、以下の記事をご覧ください。
手元で操作しながら読み進めてください。
組み込み変数の設定
Googleタグマネージャーの「変数」メニューを開き、「組み込み変数」の「設定」ボタンをクリックします。
表示された画面の中の「Click URL」「Click Text」の2つにチェックを入れます。

「変数」とは、ユーザーがクリック(タップ)した箇所のURLとテキストを一時的に格納しておく箱のことです。
GTMにはいくつかの変数が「組み込み変数」としてデフォルトで用意されています。
ここで設定した組み込み変数は、後のタグとトリガーの設定で使用します。
タグの作成
Googleタグマネージャーの「タグ」メニューをクリックし、「新規」ボタンからタグを新規作成します。

タグのそれぞれの設定項目については、以下のキャプチャと表を参考にしてください。

設定タグ
タグ | 備考 |
---|---|
GA4設定タグ | Googleアナリティクスの初期設定で行ったGA4設定タグ(タグの名前はそれぞれ異なります)を選択します。 GA4設定タグがない場合には以下を参照し設定してください。 Googleアナリティクスの導入方法 – Webサイトへのタグ設置 |
イベント名
設定内容 | 備考 |
---|---|
tel_tap (独自のイベント名) | ここで入力した値がGA4にイベント名として表示されます。 今回は「tel_tap」としましたが、ご自身でわかりやすい名前をつけて問題ありません。 |
※イベント名に任意の名前をつけるときは、以下のルールを守る必要があります。
- 記号は「_(アンダーバー/アンダースコア)」のみ使用可能
- 先頭は文字のみ使用可能(数字や記号は使用不可)
※イベント名は日本語でもつけることができますが、外部連携の際などに不具合が起きる可能性もあります。心配な方は英語でイベント名をつけるようにしましょう。筆者のサイトでは日本語のイベント名を付けているものもありますが、現在のところ不具合はありません。 - 英語でイベント名をつける場合、予約済みのイベント名を使うことができません。以下のGoogle公式ヘルプを参考にしてください。
イベントパラメータ
パラメータ名 | 値 | 備考 |
---|---|---|
click_text | {{Click Text}} | Step1で設定した組み込み変数「Click Text」を選択します。 |
click_url | {{Click URL}} | Step1で設定した組み込み変数「Click URL」を選択します。 |
tel_tap_count | 1 | バナーのクリック数を独立した指標として表示するための設定です。 後述するパートでGA4の「カスタム指標」として登録します。 |
トリガーの作成
タグの下部にあるトリガーをクリックし、「クリック – リンクのみ」を選択します。

トリガーの設定項目は、以下のキャプチャと表を参考にしてください。

変数 | マッチタイプ | 値 | 備考 |
---|---|---|---|
Click URL | 等しい | tel:00-0000-0000 | 値には、tel:と電話番号を入力します。 |
プレビューと公開
STEP3までの設定が終わったら、タグが正しく動くかどうかをプレビュー機能で確認します。
Googleタグマネージャーの右上、「プレビュー」ボタンを押します。

以下のような画面が表示されるので、検証を行うページのURLを入力して「リンク」ボタンを押します。

新しいタブが立ち上がり、入力したURLのページが立ち上がります。
同時に「Tag Assistant」というタブも立ち上がっているはずなので、以下の画像のように並べて表示しておくと便利です。
以下の画像のように、設定した「電話番号タップ」のタグは、はじめは「未配信のタグ(Tags not fire)」のエリアに存在します。この状態で、ページ上の電話番号をクリック(タップ)してみましょう。

電話番号をクリックしたときに、以下の画像のように「電話番号タップ」のタグが「配信されたタグ(Tags fire)」のエリアに移動すれば正しくイベント設定がされています。

イベント設定が正しいようなら、Googleアナリティクスにデータが送られていることも確認しておきましょう。
GA4の「レポート > リアルタイムの概要」と進み、リアルタイムレポートを表示させます。以下のように、「イベント数」の中に設定したイベント名(今回であればtel_tap)が表示されていれば問題ありません。

確認ができたら、Googleタグマネージャーの管理画面に戻り、「公開」ボタンを押します。

バージョン名にわかりやすい名前を付けて、再度「公開」ボタンを押せば完了です。

プレビュー機能の詳しい使い方は、以下の記事も参考にされてください。
カスタムディメンション・カスタム指標の登録
最後にカスタムディメンションを登録します。カスタムディメンションはデータの内訳(切り口)、
まずはカスタムディメンションを登録します。GA4管理画面から「データの表示 > カスタム定義」と進み、「カスタムディメンションを作成」ボタンを押します。
ディメンション名とイベントパラメータに、それぞれ「click_url」を入力し保存します。

同じように「click_text」も登録しておきます。

これで、「click_url」と「click_text」がレポートや探索でディメンションとして使えるようになります。
カスタム指標の登録
カスタム指標は電話タップイベントが発生した数をカウントするために使います。
GA4管理画面から「データの表示 > カスタム定義」と進み、「カスタム指標を作成」ボタンを押します。
指標名とイベントパラメータに「tel_tap_count」と入力し、測定単位のプルダウンは「標準」に設定し保存します。

これで、「tel_tap_count」が探索やLooker Studioで指標として使えるようになりました。
カスタム指標の必要性について疑問に思われる方も多いと思いますので、以下の記事も参考にされてください。
以上で、電話番号タップのイベント設定は完了です。
設定したイベントをGA4のコンバージョン(キーイベント)として登録する場合には、次のセクションで解説する設定も必要になります。
電話番号タップをGA4のコンバージョン(キーイベント)として登録する
ここでは、電話番号タップのイベントをGA4のコンバージョン(キーイベント)として登録する方法について解説します。
電話番号のタップがサイトの中で重要なイベントの場合には、キーイベントとして登録しておくようにしましょう。
キーイベントの登録方法は簡単です。
以下の画像のように、GA4の管理画面から「データの表示 > キーイベント」と進みます。「新しいキーイベント」ボタンを押し、「新しいイベント名」の空欄にGoogleタグマネージャーで設定したイベント名(今回は「tel_tap」)を入力します。
保存ボタンを押せば、設定は完了です。

次のセクションでは、電話番号タップのイベントデータをGA4のレポートで見る方法について解説します。
電話番号タップのデータをGA4レポートで見る方法
ここまで設定してきたイベントは、GA4の標準レポートや探索、Looker Studioなどの各種レポートで確認できます。
それぞれのレポートでどのように表示されるかを見ていきましょう。
3つのレポートの使い分け方については、以下の記事も参考にしてみてください。
標準レポート
まずはレポート(標準レポート)で見る方法について解説します。ここでは例として、ページ別のイベント数を確認する方法を紹介します。
GA4の「レポート」をクリックし、「エンゲージメント > ページとスクリーン」に進みます。
表の中の「イベント数」のプルダウンから、今回設定した「tel_tap」を選択すると、ページ別の電話ボタンタップ数を確認することができます。

上記はページ別のデータですが、流入元別やデバイス別でももちろん見ることができます。流入元レポートの使い方については以下のページで解説しています。
GA4のレポートメニューは、アカウントにより上記とは表示が異なる可能性があります。カスタマイズ方法については、以下の記事で解説していますので参考にされてください。
探索
探索機能では、より柔軟にディメンションや指標を組み替えてデータを見ることができます。
以下はページ別に表示回数と、カスタムイベントとして登録した「tel_tap_count」を表示した例です。

Looker Studio
Looker Studioは、Googleが提供する無料のダッシュボードツールです。GA4のデータを連携することで、標準レポートや探索では表現できないレポートを作ることができます。
指標同士を掛け合わせて、例えば「電話タップ率」のような計算指標を作ることもできます。

GA4の管理画面でも計算指標を作ることができますが、数が限られていることや作成した時点からのデータしか取れないことを考えると、Looker Studioで指標を作った方が便利に使えるはずです。
Looker Studioの基本的な使い方については、以下の記事で詳しく解説しています。
電話番号タップイベントを分析するときの考え方
電話番号のタップイベントが溜まってくると、GA4のレポートで「電話番号をタップされやすいページ」とそうでないページの差が生まれます。その差がなぜ生まれるのかを分析し記事の内容を改善することで、サイト全体の電話タップ率を高めることも可能になります。
例えばブログを運営しているのであれば、「電話番号をタップされやすい記事」というものが見えてくる場合があります。その記事の何が「電話をかけよう」と思わせたのかを考えてみましょう。「記事の内容」なのか「語りかけ方」なのか、あるいは「電話をしてください」という行動喚起なのか記事の要素の何がユーザーに影響を与えたのかを分析してみてください。

もちろん、電話番号のタップイベントを発生させたからといって、必ずしも電話をかけたとは限りません。スマートフォンで電話番号をタップした際には、「00-0000-0000に電話をかけますか?」というポップアップが表示され、発信されるまでにワンクッションあります。ただ電話リンクをタップしただけで、実際には電話をかけていないということも十分ありうるわけです。
とはいえ、電話ボタンをタップしたということは、「電話をしようかな」と思ったという場合も多いはずです。何がユーザーに「電話をかけよう」と思わせたのかを分析する意義は十分にあります。
まとめ
Googleアナリティクスで電話番号のクリックを計測する方法について解説してきました。
注意点としては、GA4で計測された電話番号タップイベントが、「電話をかけた」というアクションの数を必ずしも正確に表しているわけではないということです。
前のセクションでも説明したように、電話番号のタップから実際の架電まではワンクッションあるため、「電話番号タップ数=電話回数」とはならないケースが多いです。他にも、そもそもGoogleアナリティクスによる計測をユーザーが拒否している場合には、電話番号タップのイベントも計測されません。
他のイベント計測にも言えることですが、Googleアナリティクスで計測されるデータに正確性を求めず、参考値として扱うマインドが重要です。
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