Looker Studio「関数」入門(簡単なHYPERLINK、CONCATから使ってみよう)
- レポートのURLがクリックできたら便利なのに…
- GA4のディメンションの表示形式を変えたい
Looker Studioでレポートを作っていると、上記のような「あとちょっと、こうだったら」が解決できず、もどかしい思いをしている方も多いのではないでしょうか。
実はLooker Studioの「関数」を使えば、こうしたお悩みを驚くほど簡単に解決できる場合があります。
関数というのは、「決まったルールに従って、入力から出力を導く仕組み」のことです。Excelにも関数がありますよね。Looker Studioの関数も考え方は全く同じです。
Looker Studioの関数は、以下の画像のように計算フィールドの中で使うことができます。

とはいえ、「関数」という言葉自体にアレルギーがある人が多いことも知っています。
この記事では、GA4やSearch Consoleのデータを扱う上で特に使用頻度が高く理解しやすい2つの関数(HYPERLINK、CONCAT)と、それらを組み合わせた応用テクニックを、実際の操作画面を交えながら分かりやすく解説します。
関数という選択肢があることを知っているだけで、レポートに関する問題解決能力が格段に上がります。簡単なものからで良いので、まずは試してみましょう。
本記事の内容は動画でも解説しています。
Looker StudioでGA4のレポートを作る全体的な流れは、以下の記事で解説しています。
Looker Studioの「関数」とは何か
まずは、Looker Studioの関数がどんなものなのか、基本概念について理解しておきましょう。
関数は決して難しいものではなく、「特定のインプット(入力)に対して、決まったルールで処理を行い、アウトプット(結果)を返してくれる便利な自動処理ボックス」のようなものです。Excelやスプレッドシートの関数と考え方は同じになります。

関数を理解する一番簡単な方法は、自動販売機をイメージすることです。
- インプット:あなたが「お金」を入れ商品を選ぶ
- 処理:自動販売機が「お金を認識し、選ばれた商品を出す」
- アウトプット:選んだ「ジュース」が出てくる
上記のように、何かを入れると、決まった処理を経て、別のものが出てくる。これが関数の基本的な考え方です。
Looker Studioに置き換えると、「元のデータ(インプット)を、関数というルール(処理)で加工し、新しいデータ(アウトプット)として表示する」ということになります。たとえば、「リンクではないURLの文字列」をインプットすれば、「クリックできるURL」をアウトプットするといった具合です。

関数を使うことで、元のデータソースに手を加えることなく、レポート上だけでデータを加工したり見せ方を変えたりすることが可能になります。
Looker Studioでは、この関数を「計算フィールド」の中で、数式として記述し使います。基本的な使い方の流れも理解しておきましょう。
Looker Studio右側のメニューから「ディメンションを追加」をクリックします。

関数は計算フィールドの中で使うことができます。

計算フィールドの中から関数を呼び出して使います。

次のセクションから、具体的なLooker Studio関数の使い方を見ていきます。
【入門編】地味に便利な2大関数
Looker Studioにはたくさんの関数が用意されていますが、まずは特に使用頻度が高く、効果を実感しやすい2つの関数からマスターしましょう。
ここでは「HYPERLINK関数」と「CONCAT関数」について、具体的な使い方を解説します。
HYPERLINK関数:クリックできるリンクを作成する
レポートに表示されたURLを、そのままクリックできたら便利ですよね。HYPERLINK(ハイパーリンク)関数は、そんな願いを叶えてくれます。この関数は、ただの文字列であるURLに、クリック可能なリンク機能を持たせることができます。
HYPERLINK関数は、以下のような構造になっています。

- 第一引数(URL):実際にリンクさせたいURLを指定します
- 第二引数(表示名):レポート上に表示されるテキストを指定します
例えば、Search Consoleのデータを使ってランディングページのURLを表示している場合、そのままではクリックできません。
以下のように計算フィールドで設定するだけで、クリック一つで該当ページに飛べるようになります。

HYPERLINK('Landing Page', 'Landing Page')
サイトの内容に詳しくない人に対して共有するレポートの場合、すぐにページに飛べることで利便性が上がります。
クリックできるレポートは便利ですが、こうした関係者からのアクセスはデータ分析の際のノイズになるので、別途除外設定が必須です。設定方法については以下の記事で解説しています。
CONCAT関数:文字列を連結する
文字列同士を連結するときに活躍するのがCONCAT関数です。複数のテキストやディメンションを、好きな順番で連結させることができます。
CONCAT関数は、以下のような構造になっています。

2つ以上の文字列を引数としてカンマ区切りで入れると、その文字列を連結します。
たとえば、GA4の「ランディングページ」ディメンションは、通常「/sub-directory/page.html」のようにドメイン名が省略されています。これではどのサイトのページか分かりにくいですよね。そこでCONCAT関数を使います。
計算フィールドに以下のように記述すれば、ドメイン名とページパスが連結されます。

CONCAT("https://example.com", ランディングページ)
上記数式の出力結果として「https://example.com/sub-directory/page.html」という完全なURLを生成できます。固定の文字列は「””」(ダブルクォーテーション)で囲むのがポイントです。
【応用編】関数を組み合わせて使ってみる
Looker Studioの関数の真価は、複数の関数を入れ子(ネスト)にして組み合わせることで発揮されます。先ほど紹介したHYPERLINKとCONCATの2つの関数を組み合わせて、さらに便利なレポートを作成してみましょう。
先ほどのCONCAT関数で作成した「ドメイン名付きの完全なURL」は、まだクリックできないただの文字列です。これをHYPERLINK関数と組み合わせることで、クリック可能なリンクにすることができます。
以下がHYPERLINKとCONCATを組み合わせた数式のイメージです。

実際の画面に入力すると以下のようになります。

HYPERLINK(CONCAT("ドメイン名", ランディングページ), ランディングページ)
この数式は、以下のような処理を行っています。
- 内側のCONCAT関数:まずCONCAT関数で「ドメイン名」と「ランディングページ」を連結し、完全なURLを生成します。
- 外側のHYPERLINK関数:
- 第一引数:CONCAT関数で生成した完全なURLを、リンク先のURLとして指定します。
- 第二引数:レポート上の表示名は、ドメイン名なしのシンプルな「ランディングページ」のままにします。
上記のようにすれば、「レポート上の表示はスッキリしたページパスのまま、クリックすればドメイン名付きの正しいページに飛べる」という、スマートで使い勝手の良いレポートが完成します。
まとめ:関数を使いこなし、分析の効率を最大化しよう
Looker Studioのレポート作成を効率化する「関数」について、基本的な考え方から具体的な応用例まで解説しました。
関数は「入力したものに応じて出力結果を返す便利な箱」です。この原則を押さえておけば、他の関数にも応用可能です。以下のGoogle公式のLooker Studioヘルプに関数の一覧がありますので、ご自身の業務に役立つものがないか確認してみてください。
関数の書き方がいまいちわからない場合には、生成AIに質問してみるのも1つの方法です。
今、手作業でやっていて「面倒だ」と感じている。そんな時には関数で効率化できないか考えてみましょう。
本記事の内容を含む、より体系的なLooker Studioの学習に興味がある方は、以下のUdemy講座もぜひチェックしてみてください。
Looker Studioで学ぶGA4レポート制作
Googleが提供する無料BIツール「Looker Studio」を使い、GA4のレポートを作成する方法について解説します。
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