【時短×高品質】NotebookLMを活用した爆速サイト設計術
この記事では、NotebookLMを活用したサイト設計の方法について解説します。
- サイト設計、面倒だな…
- この分類で本当に合っているのだろうか…
そう考えるWeb担当者の方は多いことと思います。私自身、新規サイトを立ち上げる際には「またサイト設計か…」とキーワードリストを前に途方に暮れることが多々あります。
ただ、そんな私にも、今はGoogleのAIツール「NotebookLM」という強い味方がいます。
NotebookLMは、Googleが提供するAIベースのノートツールで、自分のメモや資料をもとに対話形式で質問したり要点を整理したりできるのが特徴です。
GoogleドキュメントやPDF、コピーした文章などを「ソース」として取り込み、その内容に基づいて回答を生成できるAIツールです。ソースをもとに文章を生成するので、ハルシネーション(AIによる嘘)が起きにくいという特徴があります。ほとんどの機能を無料で使えるので、手軽に試すことができるのも魅力です。
本記事で紹介する方法を使うと、キーワードツールからエクスポートしたリストとプロンプトをNotebookLMに入力することで、数分で以下のようなアウトプットを作ることができます。

上の図のABC列はAIが作ってくれた検索意図の分類です(元のキーワードはD列)。
もちろん、AIによる検索意図や分類は完璧ではありませんので、最終的には手作業で整える必要があります。ですが、こうした「叩き台」があるだけで、ゼロスタートでは絶対にできないスタートダッシュが可能になります。
Webサイトの制作やリニューアル、オウンドメディアの立ち上げといった場面で、避けて通れないのが「サイト設計」という名の重労働です。あなたが、ラッコキーワードやキーワードプランナーから吐き出された膨大なキーワードリストを前に途方に暮れているのなら、ぜひ本記事の方法を試してみてください。
私は(特に他人のサイトの)サイト設計については、モチベーションがなかなか上がらず困っており、以下のような記事も書いています。
ただ、本記事で紹介する方法を編み出してからは、サイト設計がむしろ楽しみな作業になりました。
次のセクションから、NotebookLMを活用した「爆速サイト設計術」を、具体的な手順とプロンプト例を交えながら解説します。キーワードリストを前に時間を溶かすのはやめにして、AIに面倒な作業は任せてしまいましょう。
本記事で紹介する方法は、NotebookLM無料版でも実施できますが、処理できるキーワード数に限界があります。私の実験環境では500件程度までは処理できましたが、大量のキーワードを処理する場合には有料版を使うのがおすすめです。
NotebookLM有料版は、月額2,900円のGoogle AI Proプランの中に含まれています。
爆速サイト設計マニュアル
それでは早速、NotebookLMを使ったサイト設計の手順を解説します。
今回は「Googleアナリティクス(GA4)」をメインキーワードに据えたサイトというテーマで進めます。ぜひご自身の作りたいサイトのキーワードに置き換えながら進めてみてください。
キーワードツールからサジェストキーワードのリストを取得する
まずは、サイトの主要テーマとなるキーワードをラッコキーワードに入力し、サジェストキーワードのリストをCSV形式でダウンロードします。

CSVファイルをテキストエディタで開く
NotebookLMは現時点ではCSVファイルを直接読み込ませることができないので、ダウンロードしたファイルを一旦Visual Studio Code(メモ帳やテキストエディットでも可)などのテキストエディタで開き、キーワード一覧をコピーします。

NotebookLMにキーワードリストを貼り付ける
NotebookLMで新しいノートを作成します。

最初に開く「ソースを追加」画面の「テキストを貼り付け」をクリック。

ステップ2でコピーしたキーワードリストを以下のように貼り付けます。

もし複数の主要キーワードがある場合は、それぞれ別々のソースとしてNotebookLMに読み込ませることも可能です。
NotebookLMの無料版を使っている場合、大量のキーワードリストは処理できずに「NotebookLM はこの質問には答えられません」 と出てしまいました。現状の無料版では500件程度までは処理できるようです。有料版のアカウントでは1000件を超えるデータも問題なく出力できました。
NotebookLMにプロンプトを入力する
ここがこの手法の肝となる部分です。NotebookLMに対して、どのような処理をしてほしいのかを具体的に指示するプロンプトを入力します。

以下に、私が実際に使用しているプロンプト例を記載します。「Googleアナリティクス」を例にしているので、ご自身のキーワードに置き換えて使ってください。
ソースは、Google検索における「Googleアナリティクス」「GA4」という検索キーワードのサジェストワードを一覧化したものです。このファイルを解析し、ユーザーの検索意図別に一覧表を作ってください。
**注意点**
- 「Googleアナリティクス」と「GA4」は同じものとして扱い、大カテゴリ・中カテゴリ・小カテゴリにおいては「Googleアナリティクス(GA4)」と表記すること。
- 表記揺れを考慮し、同じ検索意図のものは同じ小カテゴリに分類すること。
- 「ga404dzn」などの関係のないキーワードが混ざっている場合には、「対象外」という行に分類すること。
**期待するアウトプット**
元の単語/フレーズ|検索意図の大カテゴリ|検索意図の中カテゴリ|検索意図の小カテゴリ|備考|SEO難易度|月間検索数|CPC($)|競合性
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元データに記載の単語/フレーズ|ユーザーの大まかな検索意図を端的に表す|ユーザーの詳細な検索意図を端的に表す|検索意図をコンテンツ単位に分類する|検索意図に答えるコンテンツ案|元データのSEO難易度|元データの月間検索数|元データのCPC($)|元データの競合性
上記プロンプトについては、後のセクションで詳しく解説します。
Markdown形式のリストをコピーする
プロンプトを送信すると、数分(キーワードの量によります)でNotebookLMが以下のような形式の表を出力してくれます。リスト下のコピーボタンでクリップボードにコピーしておきましょう。

この表には、元のキーワード、AIが分類した検索意図のカテゴリ(大・中・小)、そして備考としてコンテンツ案などが含まれています。
スプレッドシートやExcelに貼り付け整形する
コピーしたMarkdown形式の表を、GoogleスプレッドシートやExcelに貼り付けます。余計な部分を削除し、以下のように整えます。

Markdownの表は、スプレッドシートにペーストすると自動的にセルに分割されるため非常に便利です。ここで、AIの分類が適切か、不要な情報が含まれていないかなどを人間の目で確認し、必要に応じて修正・追記を行います。
ピボットテーブルで構造化する
整形したデータを、スプレッドシートのピボットテーブル機能などを使って、検索意図のカテゴリごとに分類します。

以下のように構造化することで、「どのカテゴリにどれくらいの検索ボリュームがあるのか」「どのコンテンツテーマがユーザーニーズが高いのか」といったことが視覚的に把握できるようになります。

さらに、以下のようにテーブル形式に見やすく整えるのもありです。

この情報を元に、具体的なサイトマップやコンテンツ戦略を練り上げていきます。
以上が、NotebookLMとラッコキーワードを活用した爆速サイト設計のステップです。これまで手作業でやっていたのと同じようなデータが、ものの数分で作れました。しかも、早いだけでなく、手作業でやるより明らかに精度が高いのもありがたい点です。
「これなら自分にもできそうだ」と感じていただけたのではないでしょうか。
さらに応用を効かせられるように、次のセクションでは上記のプロンプトを「どのような意図で書いたのか」解説しておきます。
NotebookLM活用の肝:検索意図を捉えるプロンプト術
NotebookLMから期待通りのアウトプットを引き出すためには、プロンプトの設計が非常に重要です。ここでは、前のセクションで紹介したプロンプトの内容について解説します。
ご自身のサイト設計に適用した際、思い通りにいかない場合に参考になるはずです。
キーワードの「意味」をAIに理解させる
単にキーワードを並べるだけでは、AIはその表面的な文字列しか認識できません。たとえば、「Googleアナリティクス」と「GA4」は、人間には同じものを指すことが自明でも、AIにとっては別々の文字列です。
プロンプトで以下のように明確に指示することで、より適切なカテゴライズを行うことができます。
- 「Googleアナリティクス」と「GA4」は同じものとして扱い、大カテゴリ・中カテゴリ・小カテゴリにおいては「Googleアナリティクス(GA4)」と表記すること。
ブランド名やサービス名の略称、旧名称などが混在する場合に有効なテクニックです。
表記揺れへの対応を指示する
ユーザーが検索する際には、必ずしも正確なキーワードを入力するとは限りません。「GA4 使い方」「GA4 つかいかた」のように、ひらがなやカタカナ、アルファベットの大文字・小文字などが混在することは日常茶飯事です。
こうした表記揺れをAIに吸収させるために、以下のように指示しています。
- 表記揺れを考慮し、同じ検索意図のものは同じ小カテゴリに分類すること。
このあたりは人間と同じで完璧ではありませんが、見落としがちな細かなキーワードバリエーションも、AIが自動的にグルーピングしてくれる可能性が高まります。
ノイズ(無関係なキーワード)の排除
サジェストキーワードの中には、サイトのテーマとは無関係な文字列(今回の例では「ga404dzn」のようなランダムな文字列)が混入することがあります。
こうしたノイズを省くための処理として、今回は以下のように指定しています。
- 「ga404dzn」などの関係のないキーワードが混ざっている場合には、「対象外」という行に分類すること。
できる限り具体的な除外対象のパターンや、除外する際の処理方法を指示することで、ノイズを自動的にフィルタリングしてくれます。
アウトプット形式の明確な指定
AIにどのような形式で情報を整理・出力してほしいのかを具体的に伝えておくと、後工程の作業を効率よく進められます。今回の例では、Markdown形式の表で、かつ各列にどのような情報(元の単語/フレーズ、検索意図のカテゴリ、備考、SEO難易度など)を含めるべきかを明確に指定しています。
プロンプトの中で使っている以下は、表をMarkdown形式で表したものです。
元の単語/フレーズ|検索意図の大カテゴリ|検索意図の中カテゴリ|検索意図の小カテゴリ|備考|SEO難易度|月間検索数|CPC()∣競合性
−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−∣−−−−
元データに記載の単語/フレーズ∣ユーザーの大まかな検索意図を端的に表す∣ユーザーの詳細な検索意図を端的に表す∣検索意図をコンテンツ単位に分類する∣検索意図に答えるコンテンツ案∣元データのSEO難易度∣元データの月間検索数∣元データのCPC()|元データの競合性
Markdown記法では、「|(パイプ)」と「——(ハイフン4つ)」を使うことで表形式のデータを表すことができます。
このように出力形式を定義しておくことで、NotebookLMから出力されたデータを崩れることなくスプレッドシートに貼り付けることができるのです。
AIにわかりやすく情報を伝えるためのコツについては、以下の記事でも解説しているので参考にされてください。ChatGPTを例に解説していますが、対話型AI全般に使えます。
これらのポイントを押さえてプロンプトを作成することで、NotebookLMは単なるキーワードリストを、構造化され、検索意図が整理された「サイト設計の設計図」へと昇華させてくれます。
人間とAIの協調作業:最終調整の重要性
さて、NotebookLMがいかに優秀であるとはいえ、AIが生成したアウトプットを鵜呑みにするのは禁物です。AIはあくまでアシスタントであり、最終的な意思決定と品質担保は人間の重要な役割です。
NotebookLMが出力したキーワードの分類や検索意図のカテゴリ分けが100%正しいとは限りません。時には、人間の感覚とは異なる分類がなされていたり、重要なキーワードが見落とされていたりすることもあります。AIの提案を鵜呑みにせず、「これは本当にこのカテゴリで良いだろうか?」「もっと適切な表現はないか?」といった批判的な視点で見ることが重要です。
NotebookLMを自分の部下や後輩だと考えてみると、アウトプットされたものをそのまま使うわけにはいかないですよね。部下が提出してきた「叩き台」を、最終的に自分の目でチェックし、必要なら修正する。そのプロセスも忘れず取り入れるようにしましょう。
音声概要機能で潜在ニーズを探る
NotebookLMには、AIが自然な会話形式でソースの内容を説明してくれる「音声概要」機能が搭載されています。この機能を活用すると、分析対象のキーワード群全体から、さらに深い洞察を得ることが可能です。
使い方は簡単です。NotebookLMの右側にある音声概要というエリアの「生成」ボタンを押すだけ。

数分待つと、アップロードしたキーワードリスト(ソース)の内容について、AIがまるで人間同士の対話のように概要を説明してくれる音声データが作成されます。
実際に生成された音声が以下です。再生ボタンを押すと音が流れるのでご注意ください。
音声データを通じて、個別の検索意図の背後にある共通のテーマや、サイト全体で訴求すべきメッセージ、あるいはこれまで気づかなかった新たなコンテンツの切り口が見えてくるかもしれません。
キーワード分類というミクロな視点と、音声概要によるマクロな視点を組み合わせることで、サイト設計の解像度はさらに高まるはずです。
音声概要機能については、「自分のブログを客観的に定性分析する方法」として以下の記事でも解説しています。
まとめ
従来のサイト設計といえば、膨大なキーワードリストとの格闘であり、時間と労力を要する根気のいる作業でした。ですが、前述のようにNotebookLMを活用することで、そのプロセスは大幅に省力化できます。
また、作業者のスキルやその時々のコンディションによって品質にばらつきが出やすい作業も、AIに任せることで手作業で行うよりも安定した品質のサイト設計を実現できます。
もちろん、AIの提案を鵜呑みにせず、最終的な判断や調整は人間が行う必要があります。しかし、その「たたき台」の質が飛躍的に向上することで、サイト設計全体の生産性と品質は間違いなく高まります。
AIという優秀なアシスタントに作業を任せ、我々はコンテンツ戦略の立案やクリエイティブなアイデア作りなどの、人間にしかできない本質的な業務に集中しましょう。
ちなみに、小規模なメディアなら「あえてサイト設計しない」という選択肢もありえます。以下の記事で「書きながら育てる」という戦略について解説しているので、こちらも参考にされてください。
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