オウンドメディアが月間1万PV達成するまでの記録
多くのブロガーやオウンドメディアを運営する企業にとって、「月間1万ページビュー」という数字はひとつの節目と言えるのではないでしょうか。
オウンドメディアの運営方法を検索すると、「SEOで上位を取る方法」や「キーワード戦略」といった定型的なノウハウが並びます。しかし実際には、それらの「正解」に沿わずとも成果を出すことは可能です。
当サイト「Web改善のレシピ」は、2022年12月の運用から約2年半で月間1万PVに到達しました。

1万PVに到達した時点(2025年6月)での記事総数は58記事。「100記事書け」というセオリーもある中、比較的少ない記事数で達成しています。また、以下の記事でも解説しているように、いわゆる「サイト設計」もほとんどしていません。
にもかかわらず、当サイトがどのようにして月間1万PVを達成できたのか。本記事では、私自身のための備忘録の意味も含めて運営記録を公開します。
前述の通り少ない記事数で効率的にアクセス数を増やすことができていますので、少人数でWebサイトを運営しなければならないブロガーや中小企業の方には参考になるはずです。
サイト概要
前提条件として、まずは当サイトの概要について解説します。
当サイト「Web改善のレシピ」は、ボーダーヘイズ・ジャパンが運営するオウンドメディアです。現在はリード獲得の役割も果たしていますが、もともとはクライアントサポートを目的として立ち上げました。
対面でコンサルティングを行う際、何度も同じ説明を繰り返すのは非効率だと感じ、「詳しくはこちらをご覧ください」と案内できる情報ベースを作ることが狙いでした。ジャンルとしては「技術ブログ」に近いです。

将来的にYouTubeやUdemyで動画講座を展開する構想があり、その準備段階として情報を体系化しておくという意図もありました。
いわゆる「SEO対策」を意識せず、現場で必要とされる知識やノウハウをまとめることを優先しています。詳しくは後述しますが、それが結果的にSEOに効いていると思われます。
トラフィックの内訳を見ると、約8割がGoogleなどの自然検索経由です。SNSや広告に依存せず、記事そのものが集客の中心になっています。

直近1年間ではAI経由のアクセスも増えており(まだ全体の1%程度)、コンバージョンも発生しています。GoogleのAI OverviewsやAI Modeの影響が今後どのように現れていくのかで、この辺りの数値も変わっていくでしょう。
各フェーズごとの施策
ここからは、サイトの運営開始から時系列で「どのような施策を行ってきたのか」を見ていきましょう。
冒頭で「サイト設計はしない」と書きましたが、単純に書きたいことを書けばいいというわけでもありません。コンセプトに沿った「戦略」は必要になります。運営初期からこれまで、どのような考えをもとに更新してきたのかをフェーズごとに紹介します。
運営初期:顧客からの質問への回答ベースのニッチな記事

開始当初(2022年12月〜2023年11月)は、対面でコンサルしているクライアントからよく聞かれる内容を中心に記事を構成しました。
およそ20記事程度で、結果的にニッチなテーマが多くなりましたが、一次情報の密度が高く、少数でも検索評価は安定しています。
1年目で月間4000PV程度のメディアに成長しました。
- 新規記事追加(20記事):クライアントや受講生から頻出した質問をもとに、一般化した内容を記事化
- 関連記事同士を内部リンクで結び、基礎知識や用語解説を別立てにして参照性を高める
- AIは未導入。執筆は全て手動で、現場事例と検証データを豊富に盛り込む
- 2023年8月からYouTube運営を開始
運用2年目:動画コンテンツの強化

この年(2023年12月〜2024年末)は記事の更新ペースが落ち、追加できたのは10記事程度でした。
一方で、YouTubeやUdemyコースなどの動画をリリースし、記事以外の媒体による接触が増加。これら動画媒体からの直接のPV増加は小さかったものの、記事内での動画再生によるエンゲージメント向上や権威ある媒体からの評価(サイテーション)などにより、検索順位の底上げにつながりました。
記事追加ペースは落ちたものの、結果的に1年間で月間PVは1.5倍程度に伸びました。
- 新規記事追加(10記事)
- YouTube動画を記事に埋め込み、操作手順や解説を補足(動画→記事、記事→動画の双方向リンクを設計)
- Udemy講座内の質問を記事テーマに還元
- 生成AIを本格導入する前段階として、下書き生成や構成案作成のテストを実施
運用3年目:生成AI活用による記事の増産

2025年からは生成AIをフル活用し、6月までの半年で約30記事を追加。記事総数は約30本から58本へと倍増し、アクセス数も半年で約1.5倍になりました。
ただ誤解していただきたくないのは、いわゆる「AI記事」ではないということです。AIはあくまでテキスト成形の段階でのみ使い、これまでと変わらず一次情報や検証データをもとにした記事作成を行っています。
以下の記事で書いているように、AIは電動ノコギリ的な使い方をしています。
また、少人数でメディアを運営するには、AIによる自動化・効率化が欠かせません。Geminiの「Gem」やChatGPTの「GPTs」などのカスタムチャットボットを活用して定型作業を自動化しはじめたのもこの頃です。カスタムチャットボットの作り方については、以下の記事で解説しているので参考にされてください。
- 新規記事追加(28記事):AI活用による新規記事の増産
- 古い記事の大胆なリライト(GA4のデータやAIによる分析を参考に)
- スクリーンショットやUI表記を最新に更新
- FAQセクションを作成
- メルマガで更新情報を配信しエンゲージメントの高いユーザーの利用を促進
成果につながった主要施策
このセクションでは、前述の各施策について詳しく解説します。
ニッチで骨太な記事展開
当サイトの1番の強みは、「ニッチで骨太な記事展開」だと自負しています。競合サイトが書いているボリュームの大きいニーズは捨て、他のサイトでは得られない(または誤っている)情報を中心に記事化しています。
小さなニーズに全力で応えるのは、リスクのある選択です。検索ボリュームが少なければ、アクセス数の天井も低くなるからです。しかし私の経験上、こうしたニッチな領域こそが、長期的な集客基盤を築くカギになると考えています。
当サイトは、あえてキーワード調査を行わず、現場のクライアントやUdemy受講生から実際に受けた質問に答える形で記事を作成してきました。机上の想定ではなくリアルな背景や状況を理解した上で書いているということです(それが本当に意味のある記事だと思っています)。
回答はすべて一次情報で、実際に得られたデータは出し惜しみせず掲載します。グラフやスクリーンショット、数値の根拠まで公開することで、「ここにしかない情報源」としての価値が積み上がっていくわけです。
一次情報の集め方や活用方法については、以下の記事で詳しく書いています。
また、同じテーマで複数の記事を展開し、内部リンクで強く結びつけることで、検索エンジンに対しても「この分野では頼れるサイト」というシグナルを送ることを意識しています。いわゆる「トピッククラスター」という考え方と似ていますが、それをもっと小規模に行うイメージです。

新規記事の追加:ハードルを下げることが最大の原動力
2025年に入ってから、当サイトは記事数を一気に増やしました。2年間で30本だった記事が、わずか半年で倍の58本に到達。
記事数を大きく伸ばせた一番の要因は、生成AIの活用により「記事に取り掛かるハードル」を下げたことです。
どんな取り組みでも、行動を続けるための原動力はモチベーションにあります。そしてモチベーションを保つ最大のポイントは、「いかに着手を容易にするか」です。私の場合は「記事を書きたい」という気持ちがあり、記事アイデアをメモとして残すものの、それをすぐに形にできないということが課題でした。真っ白なページを目の前にすると、完成までの道のりが遠すぎて取りかかれないのです。
それを解決したのが生成AIでした。AIに下書きと構成案を作ってもらい、スタート地点を限りなく低く設定。「すでにページに文字がある」という状態を作ることで、ゼロから書く精神的負担が大幅に減り、着手までのスピードが劇的に上がりました。
もちろん、AIに任せきりでは品質が担保できません。記事の出発点は自分の中から生み出した一次情報です。これを私は「文章の種」と呼んでいます。AIの使用はあくまでも文章の成形にとどめ、自分のコントロール下からは出さないようにしています。
結果、記事数は急増したものの、これまで同様「骨太」な記事を書くことができています。
私が実践している生成AIによるライティング方法については、以下のUdemyコースで詳しく解説しています。
過去記事のリライト:順位より行動指標を見る
当サイトでは、検索順位はあくまでも「結果」であり、目的ではないと考えています。
なので、平均検索順位やCTRといったSearch Consoleの指標よりも、GA4で確認できる読了率や地点ごとのスクロール率といったサイト内での行動指標を重視しています。もともとSEO的な順位を過度に意識していないため、「順位が下がるかも」という不安はなく、必要であれば迷わずリライトします。この姿勢が、結果として情報鮮度を保ち、順位の維持にもつながっていると考えています。
リライト対象は、アクセス数ではなく「最後まで読まれていない」など行動データで改善余地が見える記事です。そうした記事は、構成や内容を思い切って見直します。
目的は単なるキーワード最適化ではなく、読後の行動が変わる記事にすることです。そのため、古い段落を削除して文字数が減ることもありますが、結果的に情報の鮮度や明快さが高まり、内部リンクの到達率やフォーム到達率などの行動指標も改善しました。
「順位低下を恐れない」×「行動データに基づく改善」という運用が、大胆なリライトを後押しし、長期的な検索順位の安定にもつながっているのです。
YouTube運営:動画で記事の理解を助ける
サイトの運営2年目からは、YouTube動画を記事に設置し始めました。
当サイトのYouTube動画は、「再生数が伸びるかどうか」よりも「記事の読者にとって動画があった方が理解しやすいかどうか」という視点で制作しています。つまり、記事がメイン、YouTubeはサブという主従関係の立ち位置です。

YouTube全体の再生数やチャンネル登録者数よりも、記事内での動画再生数(GA4で計測)を重視しています。記事に埋め込まれた動画が、読者の課題解決につながることこそが目的です。
動画では文章だけでは伝わりにくい操作手順や画面遷移を動画で見せたり、動画の概要欄から記事内の該当見出しへ直接リンクしたりしています。記事と動画が相互に補完し合いながら、読者体験を高めることを目指しています。
動画の本数はあまり増やしていませんが、記事内で再生されることで一定割合で再生数は伸び、結果として登録者数も安定して増加しています。YouTubeの運営手法としては王道ではないかもしれませんが、ユーザーファーストの観点から見れば、今の形が最適だと考えています。

YouTubeの方は、2025年12月に登録者数2000人を超えました。チャンネルが伸びるまでの戦略などは以下で解説しているので、あわせてご覧ください。
Udemy活用:出口としての講座と信頼性の証明
YouTube運営と並行して、動画学習サービス「Udemy」での講座展開も始めました。
Udemyでの講座提供は、収益目的だけでなく、私自身の存在や専門性を証明するための手段でもあります。最近話題の「エンティティ」の強化につながるということですね。
サイトの読者の中には、「もっと深く、体系的に学びたい」というニーズを持つ方が一定数いると考えています。そうしたニーズに応える「出口」として、体系的な動画講座が必要だと考えていました。
そんな中で出会ったのがUdemy講師としての活動です。もともと受講生として利用していたので、動画講座の価値は体験ベースで知っていました。GA4やGTMのコースは実践的なものが少なくUdemy上ではニッチだと感じたため、空いた隙間を攻めたことで、短期間で「ベストセラー」バッジを獲得することもできました。
講座内では受講者から質問をいただくこともあり、それを一次情報として記事にも還元しています。結果として、記事はより具体的かつ実用的になりました。
Udemy上で得られる高評価や受講レビューは、外部からの信頼証明として機能します。Udemy(日本での運営元はベネッセ)という権威あるサイトやサービスで言及・評価されることで、自サイトや運営者の信頼性が間接的に高まる「サイテーション効果」も生んでいると考えています。
Udemyでの活動は、収益・信頼性・SEO面のすべてにおいて相乗効果をもたらすということです。

メルマガ運用:関係維持と記事価値の測定ツール
メルマガは単なるリード獲得というだけでなく、エンゲージメントの高い読者との関係を維持するためのチャネルとして活用しています。サイトやYouTubeの更新通知に加え、アンケートの実施やUdemy新コースの案内などにも活用しています。
メルマガは外部に対して「閉じた」媒体であるがゆえに、サイトでは公開しづらいより深い内容や、検証途中の知見、失敗談なども安心して共有できます。こうした限定的な情報は、読者にとって特別感があり、関係性の深化につながると考えています。
さらに、記事ごとに「メルマガ登録率」を計測することで、どの記事が新規登録に貢献しているかを把握できます。これは、単なるPVでは測れない記事の価値を示す重要な指標です。
SEOの観点でも、メルマガ運用は有効です。近年のGoogle検索アルゴリズムのリーク情報では、NavBoostというシステムがクリック数や滞在時間(ロングクリック)などのエンゲージメントデータをランキング評価に使用していることが判明しました。また、Chromeブラウザから得られるユーザー行動データも評価に影響を与えているとされています。
このことから、記事内でのクリックや滞在時間といった行動指標は、Googleに「このページは価値が高く、ユーザーの意図を満たしている」という強いシグナルを送る可能性が高いと考えています。特に、検索ボリュームが小さいニッチ記事でも、メルマガ読者のような行動指標の高いユーザーが読むことで、その記事の評価が上がり、間接的にサイト全体の信頼性や権威性の向上につながるのではないかと想像しているわけです。
基本もおろそかにしないこと
もちろん、日々の基本的な作業もおろそかにしないことが重要です。
例えば、以下のようなことです。
- 記事公開直後やリライト時にはインデック登録する
- モバイル端末での表示崩れがないかチェックする
- リンク切れがないかチェックする
こうした当たり前すぎて見過ごしてしまうようなことも、積み重なると差が生まれます。
私がサイト公開後に行っていることについては、以下の記事にまとめました。こちらも参考に、あなたのサイトにも取り入れてみてください。
オウンドメディアは何PVあればいいのか
オウンドメディアを運営する上で、「結局どれくらいのPVを集めればいいの?」という疑問を持つ方も多いため、ここで整理しておきます。
「月間1万PVを達成しました」と言うと、数値そのものに注目しがちですが、必要なPVはサイトの目的によっても変わります。
PVは多ければ良いわけではありません。大切なのは、どれだけのコンバージョンが必要かを明確にすることです。例えば当サイトの場合、月間1万PVに対して30件のコンバージョン(メルマガ登録)があり、PVあたりのCVR(コンバージョン率)は0.3%です。もし月間100件のコンバージョンが必要だとすれば、計算上は100 ÷ 0.3% = 約33,333PVが必要になります。
この考え方を痛感したのは、以前勤めていた会社での経験です。当時、運営していたオウンドメディアでは、上司から「月間100万PVを目指すこと」と「CVを増やすこと」の両方を求められました。経営層や株主向けには「100万PVのメディアを運営している」というフレーズは聞こえが良く、PR効果も大きいと考えられていたためです。
しかし現場レベルでは、ボリュームの大きいキーワードばかりを狙った結果、記事の内容は広く浅いものが増え、ターゲットとのマッチ度が低下。CVも発生せず、記事内のユーザー行動が悪くなったためか、検索順位も伸びづらくなりました。
Googleが推奨する「ユーザーファースト」の逆を行った結果、本当に数字が悪くなったということです。
ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
Google が掲げる 10 の事実
PVは手段であって目的ではありません。オウンドメディアの本来の目的は、ビジネス成果につながる顧客の獲得です。まずは「自社にとって必要な成果数」と「現在のCVR」を把握し、その上で目指すべきPVを逆算することから始めましょう。
※運営初期のモチベーションを保つためであれば、PV獲得が目的化しても良いとは思います。
まとめ
この記事では、当サイトが1万PVを達成するまでに行ってきたことについて解説しました。
生成AI時代になり、「オウンドメディアやブログはもうオワコンだ」というポジショントークを目にする機会が増えました。ですが、Web上での存在感や権威性を高める手段として、コンテンツ発信の重要度はむしろ増しているとさえ感じます。
(SEOに悲観的になった競合プレイヤーが減っていくのはありがたいです)
AI OverviewsやAI Modeによりトラフィックが激減しているという話も聞きますが、ここまでも触れてきたと通り、コンテンツは単なる集客ツールではありません。自分自身の思考を整理し、より体系的なコンテンツを作るための材料でもあるのです。
また近年は、生成AIに引用されたリンクからのアクセスも増えてきました。AIだけで課題を解決できなかったユーザーが、サイトにアクセスしてくれているわけです。以下の記事でも解説していますが、コンテンツによってAIからのアクセス数も異なります。
「AIから引用されやすいコンテンツを作る」という戦略もありうるわけです。現状はAI経由のユーザーパフォーマンスは良くありませんが、数値に表れないコンテンツ評価の基準にもなり得ます。
顧客からの問い合わせに対して品質を保ちながら効率的に回答する場合にも、オウンドメディアが活躍してくれます。当サイトも、Udemy受講生やYouTubeコメント欄での質問に対して記事のURLを渡すことで、品質の高い対応をできています。
たとえコンテンツがAIの「養分」となろうとも、今のところはこれまでの運営方針で続けるつもりです。PVというわかりやすい指標を目標の1つとして、今後もコツコツとコンテンツ更新を続けていこうと思います。
オウンドメディアのメリットについて、より一般化した内容は以下の記事にまとめました。こちらもあわせてご覧ください。



記事へのご質問・ご指摘