Tag Assistantの本当の使い方|ただの検証ツールではない「真価」とは

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「Tag Assistantって、何のために使うんですか?」

Web制作やマーケティングの現場でよく聞く質問です。そもそもTag Assistantの存在すら知らない人も多く、「使った方がいいって言われたから入れたけど、正直よく分かってない」というケースがほとんどではないでしょうか。

Tag Assistantは、Googleが公式にChromeブラウザの拡張機能として提供しているタグの検証ツールです。GA4やGTMなどのGoogleタグが、本当に正しく動作しているのかをその場で確認できるというシンプルな機能を持っています。

とっても地味なTag Assistantですが、クライアントへの提案や競合サイト分析にも活用できる結構すごいツールだったりします。

この記事では、Tag Assistantの基本機能から、「Legacy」や「Companion」などの旧バージョンとの違い、そして提案に使える応用法までを実践的に解説します。

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Tag Assistantの特徴と旧バージョンとの違い

Tag Assistantとは、Googleが公式に提供しているChrome拡張機能のタグ検証ツールです。サイトに実装されたGoogleタグ(GA4、GTM、Google広告など)の設置状況や動作状態を確認できるために使います。

ブラウザのサイドパネルからタグの一覧を視覚的に確認でき、タグがいつ、どんな条件で動作したのか、さらにどのイベントに紐づいていたのかを把握できます。

Tag Assistantを起動したイメージ
Tag Assistantを起動すると、検証ページの右側にサイドパネルが表示されます
旧バージョンについて

以前は「Tag Assistant Legacy」や「Tag Assistant Companion」といった、用途の異なる複数のツールが存在していました。それぞれの違いを整理しておきましょう。

Tag Assistant Legacy

UA(ユニバーサルアナリティクス)時代のタグ検証ツール。タグの有効・無効を「緑」「黄」「赤」のラベルで表示し、基本的な確認に使用されていました。

Tag Assistant Companion

GTMのプレビューモードを支援する補助ツールとして提供されていたものです。プレビュー画面と本番サイトを連携させる「つなぎ役」としての役割を担っていました。

現行のTag Assistant(名称は単にTag Assistant)

上記の過去ツールの機能を統合した新しいバージョンです。タグ検証とGTMのプレビューモードが一体化し、1つの拡張機能で完結する仕様になっています。

現在は「Tag Assistant」のみを導入していれば問題ありません。旧ツールの情報を元にした発信も多いので注意しましょう。

Tag Assistantの導入と基本操作

ここでは、Tag Assistantのインストール手順と基本的な使い方など、導入直後に押さえておきたいポイントを整理します。

Chrome拡張機能のインストール

Tag Assistantは、Google Chromeの拡張機能として提供されています。

まずはChromeブラウザにTag Assistantをインストールしましょう。手順は次のとおりです。

STEP
Chromeウェブストアにアクセス

ChromeウェブストアでTag Assistantのページにアクセスし、「Chromeに追加」ボタンを押す。

Tag Assistantのインストール画面1

以下のポップアップが表示されたら「拡張機能を追加」ボタンをクリック。

Tag Assistantのインストール画面2
STEP
ブラウザにピン留め

拡張機能は、Chromeブラウザ右上のパズル型のアイコンに格納されています。よく使う機能なので、以下の画像のようにピン留めしておくと便利です。

Tag Assistantをピン留めするイメージ

インストールできたら、次のセクションで基本的な使い方を見ていきましょう。

タグの検出と表示の見方

ここからは、Tag Assistantの基本的な使い方を解説します。

STEP

Tag Assistantを起動

検証したいページを開いた状態で「Tag Assistant」のアイコンをクリックすると、右側にサイドメニューが開き、Google関連のタグが一覧表示されます。

各タグをクリックすると動作しているイベントの状況を見ることができますが、「タグのトラブルシューティング」をクリックすると、さらに詳細な情報を見ることができます。

「タグのトラブルシューティング」をクリックするイメージ
「タグが見つかりませんでした」という表示が出る場合

結構な割合で「タグが見つかりませんでした」という表示が出ますが、「タグのトラブルシューティング」をクリックすると表示されることがほとんどです。

STEP

タグの詳細情報を確認

「タグのトラブルシューティング」をクリックすると、以下のようなページが開きますので、「続行」をクリックします。

Tag Assistantの画面を開いたイメージ

Googleタグマネージャーを使っている方には見慣れた画面ではないでしょうか。プレビューモード起動時に開く画面と同じですね。これも実はTag Assistantの機能なのです。

ページ上部に、サイトに設定されているタグが一覧表示されます。

Tag Assistantの画面上にタグが表示されるイメージ
STEP

タグ単体のデータを見る

各タグをクリックすると、タグの設置方法や動作しているイベントの状況を見ることができます。以下は、Googleアナリティクス(GA4)のタグをクリックした例です。

イベントに応じてタグが動作するイメージ

左側にはイベントが発生したタイミングが時系列で、中央のエリアにはイベント発生時に動いた(発火した)タグが表示されます。

STEP

イベントの発生タイミングを確認

検証しているページでスクロールやクリックの動作を行うと、Tag Assistant上でもイベントが発生するため、「意図したタイミングでタグが動作するか」などタグの動作確認に使うことができます。

以下はページ内のボタンをクリックした例です。左側の「cta_click」(名称はアカウントにより異なる)をクリックすると、そのタイミングで動いたタグが中央に表示されます。

ページ上のCTAをクリックしたときにTag Assistant上でタグが動作するイメージ
STEP

イベント名・パラメータを確認

タグ自体をクリックすると、設定されているイベント名やイベントパラメータも見ることができます。

Tag Assistant上でイベント名やイベントパラメータを確認するイメージ

ここまでが基本の使い方です。

通常は自サイトの検証に使いますが、上記で紹介した機能は、管理権限を持たない他社のサイト上でも使うことができるのです。イベントパラメータも含めて確認できるので、さまざまな用途に応用できます。

たとえば以下は、Googleのアナリティクスヘルプ上でTag Assistantを起動した例です。自社サイト上で行ったのと同様に、どんなタグがどんなタイミングで動いているのかを観察できます。

他社サイト上でTag Assistantを動かすイメージ

残念ながらアナリティクスヘルプにはGoogleタグマネージャーも設定されていないようで、あまり面白いデータは取れませんでした。

この機能をどんな用途で使うのか、次のセクションで詳しく見ていきましょう。

Tag Assistantの実務応用:3つの活用シーン

Tag Assistantは、自社サイトのタグチェックにとどまらず、使い方によってはクライアント分析や競合調査も可能です。ここでは、私が実際に活用している3つのシーンを紹介します。提案の説得力や、改善施策の精度を高めたい方にとって、すぐに取り入れられるヒントになるはずです。

1. 競合サイトのイベント計測チェック

「競合はどんなユーザー行動をトラッキングしているのだろうか」と気になる方は多いと思いますが、Tag Assistantを使えば、計測しているイベントをある程度予測することができます。

たとえば、フォーム送信やボタンのクリックといった動作を行いながらTag Assistantを確認すると、どんなタイミングでGA4やGoogle広告のイベントが発火しているかが可視化されます。特定のボタンやリンクがクリックされた際にイベントが発火していれば、「この箇所は重要なポイントとして設計されている」と読み取れるわけです。

さらにイベント名やイベントパラメータまで確認できるので、自社の設定を行う際の参考として使えます。

すべての設定が見えるわけではありませんが、イベント設計の考え方や意図を推測する手がかりとしては十分です。競合分析に一歩踏み込みたいと考えているなら、まずはTag Assistantで観察してみることをおすすめします。

2. 委託先の選定に活用

Webマーケティング業務を外部に委託する場合、タグの実装を観察することで、その会社のレベル感を知ることができます。

委託先候補のWebサイトでTag Assistantを使い、タグの発火タイミングやトリガーの設定状況まで確認してみましょう。たとえば、細かなスクロールイベントやボタンクリックイベントが丁寧に設計されていれば、「この会社はユーザー行動をかなり意識して設計している」とわかります。

一方で、「いまだにUAのタグが入っている」「GA4のカスタムイベントを設定していない」というような会社は、レベルがさほど高くないかもしれません。

委託先が自社の選定基準を満たしているかを検証するためにも、Tag Assistantを活用できるということですね。

3. クライアントへの提案資料作成に活用

クライアントへの提案シーンでも、Tag Assistantは役に立ちます。

感覚としては、委託先の選定と同じです。

たとえば、以下のような点をチェックすれば、Webマーケティングへの取り組み状況がわかります。

  • GA4のタグは入っているが、コンバージョンイベントが未設定
  • Google広告タグは入っていない
  • GTMを使っておらず、個別タグで煩雑に管理されている

こうした課題が見つかれば、それをそのまま提案書に盛り込むことができます。「現状はこうなっています」「改善すればこう変わります」といったストーリーを、目に見える証拠つきで提示できるのです。

こうした「見えているからこそ言える」提案は、クライアントの信頼を獲得しやすく、プロとしての説得力にもつながります。

Tag Assistantは、検証ツールであると同時に、提案力を高めるツールでもあるということです。


裏を返せば、自社の競合やクライアント候補も、上記のような観察をしている可能性があるわけです。それを考えると、イベント設定1つを取り上げても気が抜けないですね。

Tag Assistantによる他社の分析については、以下の動画で解説しています。

YouTubeで見る

動画の中では旧バージョンの「Tag Assistant Companion」を使っていますが、起動方法以外は使い方がほぼ同じです。

まとめ:Tag Assistantを使い倒そう

Googleタグの検証ツール「Tag Assistant」の概要から活用方法まで見てきました。

タグ検証にとどまらず、競合や他社の分析、クライアントへの改善提案にまで使えるツールであることがおわかりいただけたと思います。

どんなデータも使いようです。まずは、今あなたが意識している競合サイトをTag Assistantで分析してみてください。タグが正しく動いているか、思わぬエラーがないか、競合やクライアントと比べて見劣りしていないか。さまざまな情報を得られるはずです。

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屋嘉比 馨
ボーダーヘイズ・ジャパン代表
ウェブ解析士協会所属・ウェブ解析士。
ラジオ局、広告代理店などに勤務ののち、大手SIerのWebマーケティング担当に。
2022年に独立し、ボーダーヘイズ・ジャパンを設立。
これまで100サイト以上の改善・計測環境構築に貢献。

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