GA4イベント名の付け方|「分析しやすさ」は命名規則で劇的に変わる
「このイベント、何のために設定したんだっけ?」
GA4を運用していると、(自分で設定したのに)設定した覚えのないイベント名に戸惑うことはないでしょうか。設定当初は何らかの意図を持って設定したつもりでも、時間が経つと似たような名前が乱立し、「このイベントって何だったっけ?」と手が止まってしまう。特にチームでWebサイトを運用されている方なら、日常茶飯事的に起こっていることだと思います。
私自身も会社員時代にオウンドメディアを運用している際、(当時はUA運用でしたが)見慣れないイベントが管理画面に溢れ、収拾がつかなくなったことは数知れず…。
そんな経験から学んだのは、GA4のイベントは「ただ記録すればいい」というものではない、ということ。後々の分析で「使えるデータ」にするためには、イベント名の付け方が極めて重要なのです。
とはいえ、Googleが定めたルールをただ守るだけでは不十分です。自社内での「命名ルール」の整備とイベントパラメータによる「構造化」。この2点がポイントになります。
しっかりと設計したイベント名+パラメータを使えば、以下のように整理されたデータを取得することも可能です。

「でも、命名ルールを決めるのって面倒くさそう」 「うちみたいな小規模チームには必要ないかも」
そんな声が聞こえてきそうですが、大丈夫です。難しい話ではありません。イベント名の付け方には、ちょっとした「考え方のコツ」があるのです。
また、これは大規模組織だけの問題ではなく、個人や小規模チームにも言えることです。「過去の自分」が設定した不要なイベントという負債に悩まされないよう、しっかり整理しておきましょう。
この記事では、GA4イベントの命名規則の基本と、実務で役立つ命名パターンの考え方、属人化を防ぐための管理方法について、私の実例を交えながらご紹介します。
大前提:GA4のイベント命名には守るべきルールがある
まずは、ローカルルールの土台として、GA4で必ず守らなければならない命名規則を理解しておきましょう。
GA4のイベント名は、自由に設定できるように見えて、実はGoogleが定めたルールに従う必要があります。このルールを知らずに名前をつけてしまうと、そもそもイベントが計測されなかったり、エラーで弾かれたりと、後から面倒なことになります。
具体的には、以下のような制限があります。
- イベント名は英字で始める必要がある
- 使える文字は英数字とアンダースコア(_)のみ
- スペースは使用不可
- 大文字・小文字は区別される(「my_event」と「My_Event」は別イベントとして扱われる)
- 予約語や接頭辞は使用できない(例:「ga_」「google_」「user_id」など)
上記については最低限の知識として押さえておきましょう。
Googleが公式に提供している予約済みイベントのリストには、「page_view」「scroll」「form_submit」などが含まれています。これらはすでに自動収集されるイベントとして扱われるため、うっかり重複して使うと「イベントの数がおかしい」と混乱のもとになります。
特に注意すべきなのは、「アンダースコアで始まる名前」や「ga_で始まるパラメータ名」。これらは予約済みの接頭辞としてブロックされるため、エラーの原因になります。
GA4のイベント設計は、まずこのルールを正しく理解するところから始める必要があるのです。
使用できない予約語は以下の公式ページにまとまっています。あらかじめざっと目を通しておき、イベント名を決める際に改めて確認する、という使い方がおすすめです。
イベント名は目的別につける
GA4のイベント名を考えるときには、「粒度の設計」が重要になります。よくやってしまいがちなのは、「細かすぎるイベント名をつけてしまう」というパターンです。たとえば、ボタンのクリックごとに「cta_btn_top_click」「cta_btn_btm_click」「form_btn_sidebar_click」…と細かく分類してしまうケースです。
この命名が、後々の運用を妨げるトラップとなります。
なぜ細かすぎる命名が問題なのか
1つひとつのイベントに丁寧に名前をつけるのは、ある意味では几帳面で誠実なやり方かもしれません。しかし、GA4ではそのアプローチが裏目に出ることがあります。
たとえば、「CTAのクリック」というイベントを、クリエイティブ別に以下のような3つのイベント名に分割してしまった場合について考えてみましょう。
- cta_btn_top_click
- cta_btn_btm_click
- cta_txt_sidebar_click
一見すると正確で整理されているように見えますが、実はこれが運用面での取りまわしづらさにつながってしまいます。
たとえば、上記のイベント名を使って、「CTAのクリック数を全体で集計する」という場面を想像してみてください。イベント名がバラバラだと、すべてのイベントを一つひとつ指定して合算しなければなりません。手間がかかるだけでなく、集計ミスの原因にもなります。

結果として、「計測はできているけど、分析に時間がかかって手が回らない」という本末転倒な状況に陥ってしまいます。
分析効率を上げる「イベント名+パラメータ」の分離設計
では、どうすれば良いか。シンプルに考えてみましょう。
イベント名は目的の「大分類」で統一し、細かな違いはイベントパラメータで管理するのです。
イベントパラメータというのは、イベントの内訳を設定できる追加情報です。以下画像のように「パラメータ」と「値」のセットでイベントの中に追加情報として格納されます。

イベントの概念と合わせて以下の記事で詳しく解説しているので参考にされてください。
イベント名とイベントパラメータを、以下のように階層構造で整理します。
| イベント名 | イベントパラメータ「cta_id」の値 | イベントの内容 |
|---|---|---|
| cta_click | cta_bnr_top | ページ上部バナーのクリック |
| 〃 | cta_btn_btm | ページ下部ボタンのクリック |
| 〃 | cta_txt_sidebar | サイドバーテキストのクリック |
「すべてのCTAのクリック数」を集計できるよう、イベント名は共通の「cta_click」で統一し、イベントパラメータ「cta_id」で「どのCTAがクリックされたか」という個別のCTAの成果も把握できるようにしておきます。
前のセクションで例として出した「細かすぎるイベント名」を、そのままパラメータに設定し直すイメージです。

上記イベントの1つを実際のGoogleタグマネージャーの設定画面に落とし込むと以下のようになります。

パラメータ「cta_id」はカスタムディメンションとして登録することで、GA4のレポート上で利用可能になります。
カスタムディメンション、カスタム指標の設定については以下の記事で詳しく解説しています。
例として挙げたクリックイベントの設定方法は以下の記事を参考にされてください。
上記設定を行うことで、以下のような集計表を作れます。

命名の「ルール化」が後工程をラクにする
イベントパラメータの命名規則についても見ておきましょう。
私がよく用いるのは、「接頭語+CTAの種類+位置情報」という構成です。実際に設定しているパラメータの値は以下のようになります。
| イベント名 | イベントパラメータの値 | 意味 |
|---|---|---|
| cta_click | cta_bnr_top | バナー型のCTA、ページ上部 |
| 〃 | cta_btn_btm | ボタン型のCTA、ページ下部 |
| 〃 | cta_txt_sidebar | テキストリンク型のCTA、サイドバー |
このルールで命名しておけば、誰が作業しても命名の意図が伝わりますし、一覧化しても体系的に整理されます。「この命名、どの意図でつけたんだっけ?」と迷うことがなくなるのです。
イベント名にすべてを詰め込もうとせず、パラメータを効果的に使う。このシンプルな設計思想が、後の分析や運用をグッと楽にしてくれるのです。
これまで私が関わってきたプロジェクトでは、こうした運用ができていない場合がほとんどでした。その結果、分析する以前の集計段階でつまづき、データを活かすまでに至らない…。それで「GA4は難しくて使えない」となるのは残念な限りです。
イベントの例
ここでは、私が多くのサイトで設定しているイベントとイベントパラメータの一部を紹介します。
| イベント名 | 内容 | イベントパラメータ | カスタム定義 |
|---|---|---|---|
| generate_lead | メルマガ登録完了 | form_type | ディメンション |
| form_complete_count | 指標 | ||
| form_arrival | メルマガ登録フォーム到達 | form_type | ディメンション |
| form_arrival_count | 指標 | ||
| cta_click | CTAクリック | cta_id | ディメンション |
| click_url | 〃 | ||
| click_text | 〃 | ||
| cta_click_count | 指標 | ||
| cta_view | CTA表示 | cta_id | ディメンション |
| click_url | 〃 | ||
| click_text | 〃 | ||
| cta_view_count | 指標 |
「もっとこうした方がいい」とか「設定する必要ある?」という項目もあるかもしれませんが、設定するイベントはサイトによりけりです。ご自身のWebサイトの設定の際の参考になればと思います。
上記表の「generate_lead」はGA4の推奨イベントですが、そのほかのイベントはカスタムイベントなので、オリジナルの名前をつけています。
パラメータ名についても、予約語に該当しないものであれば、自由につけて構いません。上記のように、見ただけで意味がわかるようにつけるのがおすすめです。
GA4の予約語一覧は、以下の公式ページをご覧ください。
命名ルールはシートで管理する
GA4のイベント設計において、もう一つ欠かせないのが「命名ルールの可視化と共有」です。どれだけ綺麗にルールを考えても、それがチームに伝わっていなければ意味がありません。特に、担当者が変わったり、複数人で運用しているケースでは、命名ルールの属人化がボトルネックになります。
だからこそ、命名ルールは「頭の中」で管理するのではなく「シートに落とし込む」ことが重要です。
私が実際に使っている管理シートには、以下のような項目を記載しています。
- イベント名(event_name)
- イベントの目的や用途(例:CTAクリック、フォーム送信など)
- 使用場所や対象ページの例
- パラメータ名(parameter)
実際にスプレッドシートに整理したのが以下の表です。

このように整理しておくと、新しい施策を追加する際にも「既存の命名を流用できるかどうか」「新たな命名が必要か」を判断しやすくなります。また、分析担当がイベントの意味を把握しやすくなるため、施策とデータの関係性が見えやすくなるというメリットもあります。
こうした「把握のしやすさ」が、運用効率と分析精度の両方を高めてくれるのです。
「属人化を防ぐこと」と「命名を流通させること」この2点に絞って考えれば、GA4のイベント設定が驚くほどすっきりと整理されます。「設計」と聞くとハードルが高く感じますが、PC内のフォルダ管理のような感覚でシンプルに考えればOKです。
よくある質問(FAQ)
ここでは、イベント名の設定時によくある質問をまとめます。
GA4のイベント名に日本語は使えますか?
技術的には使えますが、推奨されません。英語やローマ字表記に統一することで、GA4のUIや外部ツールでの表示・管理が安定し、分析もしやすくなります。
イベント名にハイフン(-)は使えますか?
使用できません。GA4では「英数字とアンダースコア(_)」のみが許可されています。ハイフンやスペースは無効となり、エラーの原因になります。
予約語を使ってしまった場合、どうなりますか?
二重計測が発生するなど正しく動作しない可能性があります。GA4では一部のイベント名やパラメータ名が「予約済み」としてブロックされているため、これに該当する命名は避けてください。
パラメータの命名にもルールはありますか?
はい、パラメータ名も英字で始まり、英数字とアンダースコアのみ使用できます。また、「ga_」や「google_」などの接頭辞や一部予約語(例:user_id、currencyなど)は使用できません。
途中から命名ルールを変更したくなったらどうすればいいですか?
イベント名やパラメータは途中から変更可能ですが、過去に記録したイベントやパラメータは変更されません。ですので、変更時点から「記録し直す」ということになります。可能であれば期間を区切って並行運用するのも有効です。
まとめ:イベント設計は「分析のしやすさ」で差がつく
GA4のイベント名は、ただ「記録するための名前」ではありません。むしろ、その後の分析や改善施策を左右する「設計の起点」とも言える存在です。
Googleが定めた命名規則を守るのは当然として、実務で本当に差がつくのは、そこから先の設計力。つまり、目的別に統一されたイベント名と、それを補完するパラメータ設計、さらに命名ルールの明文化と共有体制です。
私自身、複数のプロジェクトでGA4のイベント設計を見直すたびに、「最初からこのルールでやっていれば…」と思うことが何度もありました。複雑なデータ構造になってからでは、手直しも大変です。だからこそ、初期段階で「整理された設計思想」を持っておくことが、後々のコストを大きく下げてくれるのです。
イベント名はシンプルに、でも意味は明確に。パラメータで柔軟に補完し、管理シートで全体を俯瞰する。
この基本をおさえておくだけで、GA4は「扱いづらいツール」ではなくなります。
まずは、今使っているイベント名を、見直してみてください。これまで使っていた命名のクセが、スムーズな運用を妨げているかもしれません。
最終的なアウトプットであるレポートを起点としてイベント設計を考えるノウハウについては、以下のUdemyコースにまとめています。
Looker Studioで学ぶGA4レポート制作
Googleが提供する無料BIツール「Looker Studio」を使い、GA4のレポートを作成する方法について解説します。



記事へのご質問・ご指摘