GA4でAIからのサイト流入を見る方法|探索&Looker Studio

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ChatGPTやGeminiといった対話型の生成AIを使う中で、AIが回答の中でWebページのリンクを紹介するという挙動を目にする機会が増えてきました。

ChatGPTの回答で提示されるリンクのイメージ
ChatGPTの回答で提示されるリンクの例

こうしたAIが紹介したリンクからのアクセスが、自分のサイトでも増えているのではないか。そのように考える方も多いのではないでしょうか。

AIからの流入は、Googleアナリティクス(GA4)の「探索」機能を使えば、比較的簡単に確認することができます。さらに、Looker Studioを使い、時系列での変化や割合を可視化するダッシュボードを作成しておくことで、継続的なモニタリングも可能です。

以下は、私が実際に「AI vs AI以外」という視点で作成したダッシュボードの一例です。AI経由のアクセスは、直近では全体の1%程度であることがわかります(2025年に入り増加傾向にあります)。

AIからの流入を時系列で可視化するイメージ

この記事では、GA4の探索機能を使ってAI流入を確認する方法と、Looker Studioでモニタリング用ダッシュボードを作る手順、さらにAI経由ユーザーの行動の傾向について、当サイトの実例を交えて解説していきます。

この記事の内容はYouTubeでも解説しています。探索やLooker Studioの操作方法の参考にされてください。

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GA4探索でAI流入を確認する方法

まずはGA4の探索でAI経由の流入を確認する方法を見ていきましょう。

探索の「セグメント」機能を使うことで、AI流入とAI以外の流入を比較しやすくなります。

STEP

セグメント作成画面を開く

探索左側の「セグメント」追加ボタンを押し、「新しいセグメント」ボタンをクリックします。

セグメント作成画面を開くイメージ
STEP

セッションセグメントを選択する

さらに開いた画面から、「セッションセグメント」を指定します。

セッションセグメントを選択するイメージ

今回は「AI経由の訪問」を絞り込むために「セッションセグメント」を使用しています。「AIで獲得したユーザー」を絞り込みたい場合には、「ユーザーセグメント」を使用してください。以降の手順は同じですが、条件指定の際のディメンションはユーザー系のものを使います。

STEP

セグメント条件を設定する

セグメント作成画面で、条件を指定します。

セグメント条件をAI流入のみに設定するイメージ

上記画像の例では、「セッションの参照元」のディメンションに対して正規表現一致で以下の条件を入力しています。現時点での代表的なもの(ChatGPT、Perplexity、Gemini、Felo、Copilot、Genspark、Claude)のみを指定していますので、必要があれば「|(パイプ)」記号で区切って追加してください。

.*(chatgpt|perplexity|gemini|felo|copilot|genspark|claude).*
正規表現とは

正規表現とは、特定のパターンを一括指定できる記述方法です。今回のように複数のパターンをまとめて指定したい場合に便利です。詳しくは以下の記事で解説しています。

比較用セグメントを作る

AI検索とそれ以外を比較するために、AIからのセッションを除外したセグメントも作ります。

前述の手順と同様の方法で、「セグメントから一時的に除外」のブロックに条件を入力します。

AI流入を除外するセクメント条件を設定するイメージ

セグメントの中身を確認する

セグメントを作成したら、意図通りに絞り込みができているかどうかを確認しておきましょう。セグメントを適用した上で、以下のように「セッションの参照元」をディメンションに設定することで、セグメントの内訳を見ることができます。

AIからの流入が正しく絞り込まれたかを確認するイメージ

上記では、AIからの流入とそれ以外の流入が区別できていることがわかります。

AI流入セッションを分析する

セグメントを設定したら、さまざまな視点からデータを見てみましょう。

以下は、「キーイベント率」「エンゲージメント率」などの各種指標を、AI流入セッションと他の流入のセグメントで比較したものです。

AI流入とそれ以外の流入を比較するイメージ

各AIプラットフォーム別で細かく見てもいいのですが、AI流入はまだサイト全体に占める割合が少ない(当サイトの場合は1%程度)ため、「AI流入」としてまとめた方が傾向を掴みやすいはずです。

Looker Studioでモニタリングダッシュボードを作る

GA4の探索でAI流入を確認できたら、次に考えたいのが「継続的なモニタリング」です。AI経由のセッションは今後も増えていく可能性があるため、定点的にその動きを把握しておくことが重要になります。

データを定点観測する場合には、Looker Studio(旧:Googleデータポータル)を使うのがおすすめです。GA4と連携すれば、AI流入を時系列で可視化したり、全体セッションとの割合を表示したりすることができます。なお、すでにLooker Studioの基本操作ができることを前提に説明しますので、不慣れな方は以下の記事からご覧ください。

Looker StudioでAI流入を見る場合も、「AI vs AI以外」という視点で比較しやすいように、計算フィールドを使って専用のディメンションを作っておくのがおすすめです。

まずは以下の手順で、独自の計算フィールドを作成します。

STEP

データソースの編集画面を開く

Looker Studioに対象のGA4プロパティを接続したら、画面右側の「データソース」のGA4アイコン部分をクリックします。

Looker Studioのデータソース編集画面を開くイメージ
STEP

フィールド作成画面を開く

データソース一覧画面が開いたら、右上の「フィールドを追加」ボタンを押します。

Looker Studioのフィールド作成画面を開くイメージ
STEP

AI流入ディメンションを作成する

フィールド作成画面が開いたら、計算式に以下のように関数を入力し保存します。

Looker StudioでAI流入ディメンションを作成する

以下の関数をコピー&ペーストして使ってください。探索で設定した時と同様に、各種AIプラットフォームを正規表現一致で指定しています。

CASE
  WHEN REGEXP_MATCH(セッションの参照元, ".*(chatgpt|perplexity|gemini|felo|copilot|genspark|claude).*") THEN "AI"
  ELSE "AI以外"
END

Looker Studio関数については、以下の記事でも解説しています。独自にカスタマイズしたい方は以下も参考にされてください。

AI経由セッションをモニタリングする

前のセクションで作成したディメンションを使い、各種グラフを作っていきます。

時系列グラフ

記事の冒頭に載せたグラフは、以下のように設定しています。

Looker StudioでAI流入を時系列で確認するための設定
設定項目内容
①ディメンション年、月
②内訳ディメンションAI流入(前のセクションで独自に作成したディメンションです)
③指標セッション
④デフォルトの期間のフィルタカスタムとして任意の期間を設定

現時点(2025年8月)では、AIからの流入はごくわずかなので、月次の粒度で見ています。

AI経由セッションの内訳

AIプラットフォーム別(ChatGPT、Gemini、Perplexityなど)の動向を確認するためのグラフです。今後流入が増えた際に、サイトパフォーマンスに悪影響のあるAIからの引用をブロックするなどの対策も可能です。

こうして見てみると、私のサイトへのAI流入が増えたタイミング(2025年1月)で、ChatGPTからの流入が増えていることもわかります。

Looker StudioでAI流入をプラットフォーム別で見るための設定
設定項目内容
①内訳ディメンションセッションの参照元
②フィルタAI流入のみに絞り込んだフィルタを設定します。
AI流入のみに絞り込んだフィルタの作り方

フィルタ作成画面から、前述の手順で作成した「AI流入」のディメンションを「AI」のみに絞り込みます。

AI流入のみに絞り込むためのフィルタを作るイメージ
コンテンツ別のAIセッション割合

ページ別で、AI流入の割合を把握するためのグラフです。「AIからの引用されやすさ」という観点で、コンテンツ品質を評価することもできそうです。

設定項目内容
①ディメンションランディングページ
②内訳ディメンションAI流入(前述のオリジナルディメンションです)

上記を参考に、ご自身のサイトでモニタリングすべきディメンションや指標を使ってレポートを作ってみてください。

AI流入ユーザーの特徴と考察

当サイトのデータを分析してみると、AI経由のセッションにはいくつか特徴的な傾向が見られたため、ここで簡単に紹介しておきます。

GA4の探索でAI流入ユーザーの傾向を分析するイメージ

まず、「エンゲージメント率」や「滞在時間」、「セッションあたりのページビュー数」などのサイト内行動を表す指標は、AI流入のユーザーは軒並み低めです。特定ページだけを見てすぐ離脱する、「情報を取りに来ただけ」の行動が目立ちます。

これは裏を返せば、AI経由のユーザーは「目的が明確で、必要な情報にすばやくアクセスしたい」という傾向があるとも言えます。AI経由の流入に対しては「回遊率を上げる」よりも、「ピンポイントで有益な情報を提示する」ような構成が適しているのかもしれません(ただし、何か対策する必要はないとは思います)。

また、少ないながらAI経由でのコンバージョンも発生しています。累計2件なのでサンプル数が少なすぎますが、今のところAI経由のCVは他よりも低めです。「AIを通じてすでに情報を取得してから訪れている」ユーザーが多いため、サイト内での追加情報や検討を必要としないケースが多いのかもしれません。

上記はあくまでも当サイトというN1のデータです。あなたのサイトでも同じように分析してみてください。ディメンションや指標の組み合わせ次第では、もっと面白い傾向も見えてくるかもしれません。

サイト独自にカスタムイベントを設定していれば、さらに詳しいデータを見ることも可能です。以下の記事でも解説しているので参考にされてください。

よくある質問(FAQ)

GA4でAI流入を確認する際によくいただく質問についてまとめました。

AIからの流入がありません。何が問題ですか?

記事に記載されている方法を試し、フィルタ条件が合っているにも関わらずAIからの流入が全く見られない場合、いくつかの原因が考えられます。

1.コンテンツそのものの問題

最も可能性が高いのは、AIが「引用する価値がある」と判断するようなコンテンツになっていないことです。

すでにWeb上にたくさん存在する情報や、独自の見解やデータが含まれていない記事を書いていませんか?今一度、コンテンツ品質を見直してください。

高品質な記事を書くためのデータの集め方は、以下の記事でも解説しています。

2.コンテンツの構造やフォーマットの問題

AIは、人間と同じようにコンテンツを「読む」のではなく、プログラム的に情報を解析しています。そのため、AIが内容を理解しやすい構造になっているか(主にHTMLの構造)が重要です。

見出し(hタグ)が適切に設定されているか、箇条書き(liタグ)や表(tableタグ)などでわかりやすく表現しているか、要点を押さえた文章構造になっているかをチェックしてみてください。よくわからない場合には、「人間の目から見てわかりやすいか」という観点でチェックしてみるだけでも有効です。

3.AIのクローラーをブロックしている

サイトのrobots.txtなどでAIクローラーをブロックしている場合には、AIからアクセスされることはありません。ご自身のWebサイトの設定を確認してみてください。

4.SPAなどAIがクロールしづらい仕組みを使っている

コンテンツの質が高く、構造も適切でも、そもそもAIにクロールされづらいWebサイトがあります。

例えばStudioに代表されるSPA(シングルページアプリケーション)のように、JavaScriptで動的に生成されるコンテンツは、AIが認識できない場合があります。SPAのデメリットについては、以下の記事で解説しています。

記事の正規表現は、今後もこのまま使えますか?

いいえ。この正規表現は、記事執筆時点(2025年8月)での代表的なAIプラットフォームを網羅したものです。今後、新しいAIサービスが登場したり、既存サービスの名称が変わったりする可能性は十分にあります。

定期的に最新のAIサービス情報を確認し、必要に応じて正規表現に追記することをおすすめします。「|」(パイプ)記号で区切って、新しいサービス名を追加するだけで簡単にカスタマイズできます。

まとめ

AIからのアクセスを可視化する方法について解説してきました。

AIからの流入は、現時点では全体の数%に過ぎません。ただ、AIによる検索行動が一般化すれば、サイトへの影響も無視できないレベルになる可能性もあるでしょう。Google検索のAI Mode導入後の動向も気になります。

ですが、当サイトの傾向を見る限りでは、AIからの流入はCVが発生しやすいわけでもないですし、全体的なパフォーマンスも低めです。AIからのアクセスが多い(または少ない)からといって、それほど気にする必要もないとは思います。

ただ、AIに引用されるということは、オリジナリティが高いコンテンツであるという1つの基準にもなるはずです。AIからのアクセスが全くないよりは、あったほうが書き手としてのモチベーションも上がります。

現状は、そうしてAIの養分になっているだけではありますが…。ただ、今後はもしかすると「情報利用に対する対価」も発生するかもしれません。

2025年7月、Cloudflareが「pay per crawl」という仕組みを発表し、生成AIクローラーのアクセスに対して課金を求める動きが始まりました。また、noteもコンテンツをAI学習に利用した際にクリエイターに対して報酬を支払うというプログラムを開始しています。

従来の検索エンジンと違い、AIはWebサイトにトラフィックをもたらすことなく情報を持ち去ります。コンテンツ発信者の努力に、いわば「タダ乗り」しているということです。

こうした「AIクローラーによるWebの搾取」への反発が本格化すれば、将来的に中小サイトや個人にも利用料支払いの仕組みが拡張される可能性も十分にあります。そうなったときに、自社のどのページがどのAIから参照されているか、流入実績があるかというログが、「情報価値の証明」として機能するかもしれません。

コンテンツ発信者が報われる日が来るのか、今後も引き続き動向を見守りたいところです。

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屋嘉比 馨
ボーダーヘイズ・ジャパン代表
ウェブ解析士協会所属・ウェブ解析士。
ラジオ局、広告代理店などに勤務ののち、大手SIerのWebマーケティング担当に。主にオウンドメディア、広告運用にて営業リード・採用応募獲得に貢献。
2022年に独立し、ボーダーヘイズ・ジャパンを設立。
これまで100サイト以上の改善・計測環境構築に貢献した経験をもとにUdemy講師としても活動中。受講生4,600人以上、Udemy Business認定コースも含めベストセラーコース5本を抱える。

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