Webサイトのボトルネックを見つけるマイクロコンバージョンとは【考え方&設定方法】


  • Webサイトに人は来ているが、コンバージョンが出ない
  • コンバージョンが取れない理由がわからない
  • 「なんとなく」ではなく、データに基づいたWeb改善をしたい

そんなお悩みをお持ちの方には、マイクロコンバージョンを設定するのがおすすめです。

マイクロコンバージョンとは、サイト訪問からコンバージョンまでの間に設ける中間指標のことです。「中間コンバージョン」とも呼ばれます。

概念図で表すと次のようなものになります。

「訪問」と「コンバージョン」の間の点がマイクロコンバージョンです。

CVRを細かく分解することで、サイトのどこがボトルネックになっているのかを明らかにしようということです。まさに「困難は分割せよ」ということですね。

この記事では、Webサイト内のユーザー行動を明らかにし、ボトルネックを特定する方法について解説します。

Web広告のマイクロコンバージョンについて

Web広告の運用をしている方には、マイクロコンバージョンはお馴染みの言葉かもしれません。

Web広告には、コンバージョンのデータをもとに機械学習し、コンバージョンしやすいユーザーに広告を表示させるという仕組みがあります。

しかし、コンバージョンが少ないサイトでは、分析に必要なデータが溜まりません。そこで、最終コンバージョンよりも数が多くなるマイクロコンバージョンのデータを用いて機械学習機能を動かそうというわけです。

この記事では、広告に限らず、コンバージョンまでの間に設ける指標のことをマイクロコンバージョンと呼んでいます。

マイクロコンバージョン以前に、「そもそもコンバージョン設定の方法がわからない」という方向けには、以下の記事で詳しく解説していますので参考にされてください。

読みたい場所にジャンプ

コンバージョンとはWebサイトで達成したい目標のこと

そもそもコンバージョンというのは、Webサイトで達成したい目標のことです。

Webサイトには、必ず何らかの目標があります。例えばECサイトであれば、何かを買ってもらう「購入」がコンバージョンです。サイトごとのコンバージョンの例をまとめると以下の通りです。

サイトのタイプコンバージョン
ECサイト購入完了
コーポレートサイト問い合わせ完了
メディアサイト広告クリック
ブランドサイト認知
コンバージョンの例

コンバージョン率(CVR)

コンバージョン率は、サイト訪問者のうちコンバージョンしてくれた人の割合を指します。次の式で表します。

コンバージョン率 = コンバージョン数 ÷ サイト訪問数(セッション)

サイトのタイプによりコンバージョン率の目安は異なりますが、おおむね1%〜3%程度になることが多いようです。

マイクロコンバージョンはCVを分解した値


記事の冒頭でも説明した通り、マイクロコンバージョンとは訪問からコンバージョンまでの間に設ける中間指標です。ここでは、Webサイトの例を用いてより詳しく解説していきます。

例えば以下のような、訪問者に「問い合わせ完了」してもらうのを目標(コンバージョン)としているサイトがあったとしましょう。

このWebサイトは、流入したユーザーを「問い合わせ完了」まで導くことをゴールとしています。ユーザーが問い合わせを完了すると、「お問い合わせありがとうございました」というサンクスページが表示される構造になっています。

こうしたサイトでページの良し悪しを図る上で、多くの方はCVRという指標を使っていると思います。ただ、CVRだけだとコンバージョンしなかった要因まではわからないですよね。

ユーザーがコンバージョンしなかった要因には、以下のようなものが考えられそうです。

  • サービスに興味があって問い合わせ直前までは進んだが、問い合わせフォームの入力項目が多すぎて諦めて離脱。
  • サービスに興味を持ったが、申し込みページを探しきれず離脱。
  • ランディングページに辿り着いて、一瞬で「自分の求めているものではない」感じて離脱。

コンバージョンに至らない理由は色々考えられますが、CVRだけ眺めていても「ユーザーがなぜ離脱したのか」まではわかりません。上記の3つのを1つひとつ「当てずっぽう」で検証していくのは、多くの時間とお金がかかります。また、上記以外にもCVしない理由はあるかもしれません。

当てずっぽうではなく、データに基づいた効果的な施策を打つための第一歩が、マイクロコンバージョンというデータを取るということなのです。

先ほどのページに1つ、「フォームへの到達」というマイクロコンバージョンを置いてみましょう。

CVRだけ眺めていても要因はわからないのですが、「答え」は入り口からCVポイントまでの間に必ず存在しますよね。マイクロコンバージョンを1つ置くだけで、原因がランディングページにあるのか、それともフォームにあるのかというように問題を切り分けることができます。

例えば、マイクロコンバージョンを置いた結果、次のようなデータが取れた場合はどうでしょうか。

このケースでは、フォームの完了率は悪くないですが、フォームへの到達率が低く出ています。ユーザーがフォームに到達しづらくしている要因がランディングページにあるということです。

次はどうでしょうか?

こちらはフォームへの到達率は悪くないですが、フォームの完了率が良くありません。

このサンプルのように、同じCVR0.5%でも、内訳によって改善するページが異なるということです。

ページの改善には少なからず時間もコストもかかります。マイクロコンバージョンの計測をすることで、時間もコストも節約して、より早く有効なPDCAを回せるようになるのです。

いろいろなマイクロコンバージョン

サイトのタイプごとに、マイクロコンバージョンの例をまとめると次のようになります。

マイクロコンバージョンは1つとは限りません。必要に応じて複数設定して、より細かく見てみるのも効果的です。

サイトのタイプマイクロコンバージョンコンバージョン
ECサイト商品詳細ページ到達、カート追加購入完了
コーポレートサイトフォーム到達問い合わせ完了
メディアサイト広告表示広告クリック
ブランドサイトブランド詳細ページ閲覧認知
マイクロコンバージョンの例

1ページ完結型のサイトでもマイクロCVは設定できる

「1ページ完結型サイトはどうすればいいの?」という声も聞こえてきそうです。

もちろん、1枚ペラのサイトにもマイクロコンバージョンを設定できます。

1ページしかないからと言っても、ユーザーはサンクスページまで瞬間移動するわけではないですよね。必ず中間地点が存在します。例えば、フォーム入力をして送信するまでの間に「フォームまでスクロールした」「フォームを表示した」というアクションを取ります。

また、広告をクリックしてもらうのがゴールであるメディアサイトも、広告バナーをクリックする前に「バナーを表示する」という中間地点が存在します。表示されなければクリックされないですからね。

このようにして、そもそもユーザーはフォームやバナーにたどり着いてくれているのかを見れば、改善ポイントを絞り込めます。

マイクロコンバージョンの設定方法

マイクロコンバージョンの重要性がわかったところで、どうやって計測すれば良いのかわからなければ意味がないですよね。

実はマイクロコンバージョンとして設定する指標の多くは、Googleアナリティクスの標準機能で取得することができません。

マイクロコンバージョンを設定するために使うのが、「Googleタグマネージャー」です。

Googleタグマネージャー(GTM)とは

Googleタグマネージャーは、ざっくり説明すると「タグをスマートに管理できる」というツールです。

タグマネージャーで管理する「タグ」とは、マーケティングツールと情報をやり取りするためのHTMLタグのことです。

アクセス解析ツールやヒートマップツール、広告のコンバージョンタグなどを導入する際に発行される以下のようなコードです。

上記の画像では3つのタグが表示されており、上からGoogle広告のコンバージョンタグ、GA4の測定タグ、ヒートマップツール「Clarity」の測定タグです。

このタグだけ見ても、何を意味するものなのかわからないですよね。これのタグに名前をつけてフォルダ管理できるのが、タグマネージャーの大きな役割の1つです。

今回の主題であるマイクロコンバージョンを設定するにあたっては、GTMの機能を使ってGA4の「カスタムイベント」を作成します。

GA4のカスタムイベントとは

カスタムイベントとは、GA4に初期設定されているものよりもさらに詳細な条件によるイベントを発生させられる機能です。

このカスタムイベントはGA4単体でも作成できますが、ページビューの測定や外部リンククリックなど、できることが限定的です。GTMを使うことで、内部リンクやスクロール、リンク以外の要素のクリックなど、GA4単体では測定できないイベントを作成できます。

以下が、GTMを使ったカスタムイベント発生の仕組みを図解したものです。

タグマネージャーは、サイトにユーザーが入ってきたところから一挙手一投足漏らさずに見張っています。ユーザーが何かアクションを起こすと、タグを出したり引っ込めたりしてくれるのです。この仕組みを使い、ユーザーの行動をイベントとして記録し、GA4にデータを送信します。

GTMの3つの基本概念「タグ」「トリガー」「変数」

GTMを使うためには、避けては通れない「タグ」「トリガー」「変数」という3つの基本概念というものがあります。

タグ

GTM内のタグは、ツールの測定タグを格納しておく場所です。GTMの支配下に入ったタグは、命令(トリガー)なしでは自由に動くことができない操り人形になります。

トリガー

トリガーは、タグを動かすきっかけになるものです。GTM側からの「命令」と言い換えることもできます。例えば「ユーザーがクリックしたら」「スクロールしたら」タグを動かすといった使い方をします。

変数

変数というのは、サイトから受け取った値を入れる箱のことです。例えばクリックした要素にはURLやID属性、Name属性など様々な情報が含まれています。それらをサイト側から受け取ってGTM側に持ち帰ってくるための箱です。

「タグ」「トリガー」「変数」の関係性を図解すると以下のようにになります。

例えばユーザーがサイト内でクリックイベントを発生させた場合で考えてみましょう。

命令(トリガー)

タグマネージャーが「クリックイベントを取りに行け」とタグに命令を出します。この命令が「トリガー」です。

タグ発火

命令を受けたタグは「変数」を持って走っていき、ユーザーがクリックした要素からURLなどの情報を変数に入れ、タグマネージャーの元に戻ってきます。タグが動くことを「発火(Fired)」と呼びます。

記録

タグマネージャーは、受け取った情報をGA4に送ります。

GTMで計測できるカスタムイベント

GTMで計測できるカスタムイベントをいくつか紹介しておきましょう。マイクロコンバージョンとして使いやすいものを中心に紹介します。

クリック

サイト内でのユーザー行動の代表例は、なんと言っても「クリック」でしょう。

Googleタグマネージャーでは、ボタンやテキストリンク、バナー、アコーディオンなど、色々な要素のクリックイベントを計測できます。

クリックイベントの設定方法は以下の記事で解説していますのでお役立てください。バナーやボタンなどの「要素のクリック」と、テキストリンクのクリックで記事を分けています。

要素の表示

バナーやブログの見出しなど、サイト上の要素が表示されたこともイベントとして記録できます。

例えば、以下のような場面で有効です。

  • サイト内のバナーがユーザーに表示されているか
  • 記事内の必ず呼んでほしいエリアが表示されているか(見てもらえているか)
  • モーダルウィンドウは表示されたか
  • 記事が最後の見出しがどの程度の割合で表示されているか(読了率)
表示イベントのイメージ

モーダルウィンドウの表示については個別記事もあります。

ページビュー

ページビューは、特定のページへの到達を計測できるものです。

ページビューイベントはGA4単体でも計測できますが、例えば広告のコンバージョンタグも同じ条件で配信したい場合に、GTMでイベントを作っておけば同じ条件で記録できます。イベントの管理もしやすいので、個人的にはページビューイベントもGTMで計測するのがおすすめです。

ページビューイベントを使う「サンクスページ」の計測方法については、以下の記事で詳しく解説しています。実際に設定したい方は、以下の記事を参考にしてください。

スクロール

GTMでは、任意の場所までのスクロールを記録できます。

GA4にも「scroll」という標準イベントがありま。しかし「scroll」は、90%までのスクロールのみしか記録していません(「読了」イベントとして使うことを想定していると思われます)。任意の地点までのスクロールを記録したい場合には、GTMによるカスタムイベントの作成が必要になります。

スクロールイベントをカスタムすると、独自のパーセンテージで読了率を作ることができたり、ファーストビューの読了判定をすることができます。

スクロールイベントのイメージ

他にも、10%刻みでスクロール率を計測しておくと、ページ同士のスクロール度合いを比較するのも面白いのでおすすめです。

スクロールイベントの設定方法は以下の記事で解説しています。

まとめ

Webサイトでコンバージョンが出ないとお悩みの場合には、マイクロコンバージョンを設定して原因を数値で特定しましょう。

マイクロコンバージョンは、訪問からコンバージョンまでの中間地点に設ける指標です。例えば「申し込み完了」がコンバージョンであれば、そのすぐ前の「フォーム到達」をマイクロコンバージョンとして設定すると良いでしょう。

この場合であれば、「フォームへの到達率が悪いのか」「フォームの完了率が悪いのか」を判定することで、ランディングページとフォームのどちらを改善すれば良いのか判断できます。

マイクロコンバージョンの計測に便利なのが、Googleタグマネージャー(GTM)です。GTMによってGA4にカスタムイベントを送信することで、特定ページへの到達やボタンのクリックなど、マイクロコンバージョンとして設定したい数値を計測することが可能になります。

Googleタグマネージャーの導入方法、Googleアナリティクス(GA4)の初期設定については以下の記事も参考にされてください。

GA4を「ざっくりと」理解したい方へ

Googleアナリティクスを活用するための基礎知識をまとめたebookをご用意しました。どなたでも無料でダウンロードしていただけますので、以下のボタンからご利用ください。

※新しいタブでフォームが開きます。

屋嘉比 馨
ボーダーヘイズ・ジャパン代表
ウェブ解析士協会所属・ウェブ解析士。
ラジオ局、広告代理店などに勤務ののち、大手SIerのWebマーケティング担当に。
2022年に独立し、ボーダーヘイズ・ジャパンを設立。
これまで100サイト以上の改善・計測環境構築に貢献。

YouTubeチャンネル

本サイトの内容を動画でも発信中です。文章で見てもいまいちよくわからないという方はこちらもご覧ください。

ブログの内容と若干異なる場合もございます。

読みたい場所にジャンプ